主体性を発揮するために大切なこととは?
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公開:2021.03.24
主体性とは、「社員に主体性を身につけさせたい」「うちの社員は主体性がなくて困っている」というように、「主体性」は経営者・教育担当のみなさまからよく挙がってくるキーワードです。そもそも主体性とは一体どのような意味なのでしょうか?まずは、主体性と似た意味で使われる「自主性」と比較して主体性についての理解を深めていきましょう。

主体性とは?
主体性と自主性の違い
自主性とは、予め決められたことを自ら率先して行動する態度や性質のことを指します。例えば、「常に整理整頓する」
「出社時と退社時は必ず元気よく挨拶をする」などの組織内で決められたルールを誰に言われずとも率先して行う若手社員は、「あの人は自主性のある人だ」という評価を周囲から得ているのではないでしょうか。率先垂範する優等生をイメージされる方も多いと思います。
一方、主体性は、何をすべきか決められていないことを自分の意志・判断によって自ら責任をもって行動する態度や性質のことを指します。例えば、「上司に指示されたわけではないが、部門の課題を解決するための施策を考え上司に提案する」というように、周囲から影響されて行動するのではなく、自ら目的と行動を設定し実行に移す人は主体性がある人と言えます。
また、言わずと知れた世界的名著である7つの習慣では、「主体性を発揮することとは、自分の人生を自ら選択し、自ら責任をとるということである」と定義しています。責任(responsibility)は反応(response)と能力(ability)が合わさったものであるため、責任とは「自分の反応を選択する能力のことである」という考え方です。
つまり、人間は本来、周囲に何が起ころうと、自分自身で判断し言動を選択できる能力を持っているということです。
特別な人や特別なトレーニングを受けた人だけが持っている能力ではなく、すべての人が元々持っている能力、それが「主体性を発揮する力」です。
社員の主体性が高まることによるメリット
コロナ禍における主体性の重要性
コミュニケーションの取り方や働き方、サプライチェーンなど、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、世界中で多くの変化が起きました。今後は、AI・IoTをはじめとしたテクノロジーの発展により、更に速く激しい変化と、益々先の読みにくい時代が待っています。
そのため、経営者だけ、もしくは少数の幹部だけで意思決定をして組織を動かしていくことは非常に困難になりつつあります。経営陣は現場から遠い分、顧客や市場の変化に気づきづらいものなので、現場の戦術レベルでの変化対応をすべて指示することは不可能に近いです。 また、知識が豊富で、特定領域の専門性を有する人材がいたとしても、変化のスピードが加速し、過去の成功事例が必ずしも役に立たない時代には、手段に囚われず自ら目的・課題を設定し、周囲を巻き込み動いてくれる人材、すなわち主体性の高い人材がいなければ、組織は立ち行かなくなってしまいます。
さらに、外部環境が変化する中では、変えないといけないことは社内でも発生します。場合により、指揮命令系統が機能しないケースも考えられますが、目的を鑑みて現場で臨機応変に対応し組織を引っ張っていく主体性のある人材がいれば、危機を乗り越えられる可能性は高まるのではないでしょうか。
主体性を発揮してもらうためには
では、社員に主体性を発揮してもらうためにはどうすればいいのでしょうか。ここでは、主体性を発揮するために重要な3つの要素をご紹介します。
有能感
「自分は能力があって優れている」「社会の役に立つ存在である」という感覚のことを指します。成功体験や他者からの賞賛を得ることにより、有能感も高まります。一方で、賞賛がなく、できていないことばかり指摘をされる文化の組織の場合は有能感が醸成されにくい傾向があります。
自律性
「自分の言動を自分自身で決めている」「自分が自分の行動を律していて他者からの強制や指示・命令で行なっているのではない」と感じられることを意味します。
関係性
周囲と良好な関係を築き、共同してものごとを行える状態であることを言います。他の人と精神的につながっているという感覚や、相互信頼関係を維持しているという実感を持つことでもあります。ここ数年のトレンドワードでもある「心理的安全性」とも類似する要素です。
主体性を発揮するためには、上記3つの中で自律性がもっとも重要だとされています。自発的にものごとを決め、自分の意志で言動を起こすこと、つまり言動を自分でコントロールできることが大事であるという考え方です。
したがって、主体性のある社員を育てたい場合、社員にある程度の裁量を与えて、業務内容自体や業務のやり方を自分自身に選択させることがポイントだと言えます。主体性発揮のための基本的方針として、まずは自律性が生まれる風土や仕組みを作ることを意識するといいでしょう。
主体性のある社員、ない社員
ここまでは、主体性の定義、社員の主体性が高まるメリット、主体性を高めるための要素について考えてきました。最後に、主体性のある社員とない社員の特徴を見ていきましょう。
まず、主体性のある社員の特徴は以下のとおりです。
- ・目的意識、目的思考がある
- ・自責思考、責任感がある
- ・前向きである
- ・行動力がある
逆に主体性のない社員の特徴は以下のとおりです。
- ・言われてから(指示を出されてから)しかやらない
- ・言われたこと以上のことはやらない(責任を持ちたくない)
- ・言い訳や保身が多い
主体性のある社員に責任感がある理由は、主体性のある社員が「自分で選んで行動している」「自分で考えて物事を進めている」からです。前述したように、自律性(自ら選択しているという感覚)があるからこそ、自分の言動についての責任感が芽生えやすくなります。
一方で、主体性がなく責任感が弱い人は、「指示されたから」「やらされている」などの気持ちで仕事をしていたり、失敗したときには他者のせいにする(他責思考)傾向があります。結果として、周囲からの信頼を得にくい状態を自らつくってしまっています。
いかがでしたか?社員の主体性を高め、これからの時代を生き抜く組織を創っていくためにも、ご自身の会社の社員を観察し今後の育成施策を検討する際の材料として活用いただけますと幸いです。
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