次世代リーダーの育成方法とは?求められる条件と計画~実施までの7ステップ|コラム|人材育成・教育研修

近年、後継者不足により廃業を余儀なくされている企業が増加しています。このような事態を招かないためには、早い時期から後継者を育成することが重要です。今回は、自社の将来を担う人材をどのように育てるのか、「次世代リーダー育成」のポイントをご紹介します。

次世代リーダーの育成方法とは?求められる条件と計画~実施までの7ステップ|人材育成コラム_3

次世代リーダーとは

次世代リーダーの定義は一般的に「企業の次世代を担う経営幹部や将来の経営者候補(後継者)」と言われています。ゴーイングコンサーンという言葉がありますが、企業は事業を継続する前提で経営をしている以上、10年後、20年後を支える次世代リーダーの育成は各社においても重要な経営テーマです。

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しかし現在、日本企業では次世代リーダーを育てられず、後継者不足に頭を抱える企業が増えています。帝国データバンクが2017年に実施した「後継者問題に関する企業の実態調査」によると、国内企業の3分の2にあたる66.5%が後継者不在を悩みに挙げています。

なぜ次世代リーダー育成は難しいのでしょうか。

難航する次世代リーダー育成

次世代リーダー育成が難しい代表的な理由として、以下3点が挙げられます。

1. 経営テーマの中で優先順位が低くなりやすい

次世代リーダーが学ぶべきテーマは、リーダーシップやマネジメント、経営知識など多岐にわたるため、学習時間や身につけるまでにかかる時間が長くなります。育成期間中は周囲の協力も必要であるため、育成負担への懸念から、経営テーマとして敬遠されやすくなります。
また、何をもって次世代リーダーが育ったとするのか、効果検証の基準を設けにくいため、費用対効果を測定しにくい点も優先順位が低くなる要因となっています。

2. 学んでから実際に経営者になるまでに時間が空く

経営スクールに通うなど、一時的に次世代リーダー育成の取り組みをしても、学んだ知識をすぐに実践できる環境を用意することは容易ではありません。学習から実践までに時間が空いてしまうと、学んだ内容を忘れてしまい、次世代リーダー育成の効果が薄れてしまいます。

3. 次世代リーダーを育成する体制が整っていない

次世代リーダーを育成するためには、ストレッチな業務のアサインや育成部隊の編成、人事評価・教育制度の構築など様々な取り組みが必要です。経営資源に限りがある企業では、次世代リーダーを育成するだけの体制を整えられないことも少なくありません。

「次世代リーダーを育てたいけど、なかなか育たない」という悩みを持つ企業は、こうした落とし穴にはまっている可能性があります。

では、どうすれば次世代リーダーを育成できるのでしょうか。

次世代リーダー育成における大切な7つのステップ

次世代リーダー育成を行う際に、大切なステップが7つあります。下記ステップに沿って、長期的、かつ計画的に教育を行うことが次世代リーダー育成の重要なポイントです。

1. 次世代リーダー育成のゴール設定

次世代リーダー育成は時間がかかるため、長期的な周囲の協力が欠かせません。周囲の協力を得るためには、なぜ次世代リーダー育成をする必要があるのかという理由・ゴールを明確にし、周囲に伝える必要があります。

2. 次世代リーダーに求められる条件・要件の明確化

具体的にどのような人材になってほしいのか、次世代リーダーに求める条件・要件を明確にすることで、次世代リーダー育成を計画的に実行しやすくなります。
次世代リーダーに求められる要件は様々ありますが、一般的には以下の要件が挙げられます。

(1) 企業を率いるリーダーシップ

① ビジョン設定
自社だけではなく社会全体の動きを読み、これからの時代において自社は何をすべきかを判断する大局観が求められます。
② ビジョン浸透
設定したビジョンも周囲の人が理解し、共感してくれて初めて実現に近づくため、熱意を持ってビジョンを伝え続けることが重要です。また、ビジョンは「誰が」話すかによって浸透度合いが変わります。「この人の言うことは聞きたくない」と社員に思われてしまうと、伝わるものも伝わらなくなります。日々の自身の言動を律し、日頃から周囲と信頼関係を築いておくこともビジョン浸透においては欠かせない要素です。

(2) ビジョンを実現するマネジメント力

① 戦略、戦術設計
どんなに素晴らしいビジョンも、具体的なプランに落とさない限り実現されません。ビジョンを具現化するプランニング能力や、正解が分からない中、意思決定をする胆力も次世代リーダーの必須要件です。
② 実行力
「計画倒れ」とならないよう、計画を先導して実行し、最後までやりきる、やりきらせる力です。
③ 改善力
現場で起きている様々な問題に対し、本質的な課題は何かを掴み、適切な解決策を打ち出す力です。

(3) 経営管理に関する知識

① 組織構築
事業別組織や機能別組織など、企業戦略に基づいた組織設計をするための知識を習得し、組織づくりを行う必要があります。
② 人事・労務
近年、労働環境への社会的な注目度が増しています。勤怠管理やハラスメント防止、メンタルヘルス対策など、守りの知識も欠かせません。
③ 財務
財務知識が無いがゆえに、黒字倒産をした企業は枚挙に暇がありません。自社の財務状況を正確に把握し、適切な経営のかじ取りをするためにも財務知識は不可欠です。
④ 情報セキュリティ
事業は順調でも、情報漏洩などで瞬時に企業の信頼が失われ、経営が傾くことがあります。適切な情報管理をするための知識も必要です。

3. 次世代リーダー候補者の選抜

次世代リーダー育成の成否は、育成対象者本人の意欲や資質によって大きく分かれます。誰を育成するか、という候補者選定は欠かせません。

4. 次世代リーダー候補者へ役割・期待の伝達

前述の通り、次世代リーダーになるためには幅広いテーマを長期間かけて学ぶ必要があります。また、修羅場経験など次世代リーダーならではの苦難にも遭遇します。こうした厳しい環境でも意欲的に学び続けるためには、「なぜやるのか」、「本人にとってどのようなメリットがあるか」など、明確な動機づけが重要です。

5. トレーニングの設計・実施

(1) 経営知識を身につけるためのトレーニング(Off-JT)

前述の次世代リーダーに求められる要件について、社外研修や社長塾などを通して学ぶ機会を設けます。

(2) 実践経験を積むストレッチアサインメント

次世代リーダーに欠かせない胆力や判断力は座学だけでは身につきません。配置異動(例:子会社の社長)や、部門横断のプロジェクト、新規事業の立ち上げなど、数々の修羅場経験を意図的に積ませることで、次世代リーダーの経営者としての器を育てます。

6. モニタリング

次世代リーダー育成の取り組みも、修羅場経験のアサインも、やりっぱなしでは効果が薄くなります。当初に設定したゴールに近づいているか、修羅場経験を乗り越えられそうかなど、継続的なモニタリングが必要です。

7. 改善策の検討(仕組み/個人)

モニタリングの結果、問題が発生した場合には改善策を検討します。次世代リーダー育成の仕組み自体を見直したり、本人への動機づけを再度行ったり、仕組みと個人の両方の視点を持って改善策を検討することが肝要です。

次世代リーダー育成の効果を上げるためのポイント

ここまで、次世代リーダー育成のステップをご紹介してきましたが、「最初から全てのステップを踏まえて実行するのは難しい」という方もいらっしゃると思います。そう感じた方は、まずは以下3つのいずれかから取り組んでみてください。

1. 次世代リーダー育成の目的の明確化

周囲の理解・協力がなければ次世代リーダー育成はできません。まずは自社において次世代リーダー育成が必要な理由やゴールを明確にし、協力者を増やすことが次世代リーダー育成の第一歩です。

2. 人員の選抜

誰を育成するかが決まれば、その後の育成方針や業務アサインの意思決定をしやすくなります。選抜方法としては、一般的に部門長による推薦が多いですが、エース社員を自部門から出したくないと思う部門長がいると適切な選抜ができなくなるリスクがあります。また、他薦の場合、顕在化した能力のみで判断されてしまい、潜在的な能力(将来性)が判断軸から漏れる可能性があります。そのため、次世代リーダー育成の場を先に設け、参加者を挙手制で募るという選抜方法を用いる企業もあります。他には、次世代リーダー候補者を全員リストアップし、徐々に絞っていくロングリスト・ショートリスト方式を用いる企業もあります。

3. ストレッチアサインメント

座学だけでは次世代リーダーは育ちません。現場での修羅場経験が次世代リーダー育成の最大の肝と言っても過言ではありません。新規プロジェクトや大規模な業務改革、組織マネジメントの機会など、経営者に近しい困難な業務を積極的に委譲し、早いうちから経営者の疑似体験をさせることは大変効果的です。

まとめ

「大廃業時代」という言葉が使われるようになりましたが、経営者の高齢化に伴い、今後も次世代リーダーの育成ニーズが高まることが予想されます。一方で、本コラムでご紹介した通り、次世代リーダー育成は時間と手間がかかります。そのため、気づいた時にはもう手遅れだったという事態が発生しかねません。日々、様々な経営課題を抱える中、効果が見えにくい育成テーマは後回しにされがちですが、先手必勝で動くことが他社との違いや自社の優位性を築くことにつながります。
次世代リーダー育成は壮大なテーマですが、自社の10年後、20年後を見越して、今から取り組んでみてはいかがでしょうか。

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