PM理論とは?理論とリーダー育成における活用場面をわかりやすく解説

update更新日:2022.04.20 published公開日:2017.12.08
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リーダーシップ行動理論の代名詞と言えば「PM理論」。社会人であれば一度は耳にしたことがある言葉ではないでしょうか。PM理論は1966年に三隅二不二によって提唱された理論であり、わかりやすく汎用性も高いため、PM理論が提唱され60年近く経った今でも様々な場面で用いられています。 そこで本コラムでは、PM理論の定義やリーダーに求められる行動をご紹介するとともに、PM理論をどのような場面で活用できるのかをお伝えします。

PM理論とは

PM理論とは、リーダーが取るべき行動に着目した行動理論の1つで、リーダーシップ行動を、「P:目標達成機能」(Performance)を重視するか、「M:集団維持機能」(Maintenance)を重視するかという、「P」と「M」の2軸で定義するものです。

この「P」と「M」の機能について詳しく見ていきましょう。まず、P機能(Performance function:目標達成機能)とは、成果を上げるために発揮されるリーダーシップのこと。目標設定や計画立案、メンバーへの指示などによって目的達成、課題解決を図り、業績や生産性を高める機能を指します。例えば、「納期を厳守するために細かく進捗を管理する」「ルールや規則を守るために、厳しくメンバーを指導する」といった行動が挙げられます。

またM機能(Maintenance function:集団維持機能)とは、企業や組織といった集団をまとめるために発揮されるリーダーシップのことで、人間関係を良好に保ち、チームワークを維持・強化する機能を指します。具体的には、「メンバーや部下一人ひとりを気づかい、積極的に声をかける」「メンバー間に対立が生じた場合に、その解消に向け積極的に関与する」などの行動が挙げられます。

そしてPM理論では、図1に示すように、P機能とM機能それぞれの強さによってリーダーシップ像を4つに分類しています。

PM理論
図1

例えば、P機能が強くM機能が弱い「Pm型」の場合、綿密な計画や管理、徹底した指示・指導などのもと、短期的には成果を上げることはできるかもしれません。しかし、メンバー同士の人間関係に気を配ることを怠ったり、個々人を尊重して気にかけるという機能が欠落することによって、長期的に見ると、メンバーのモチベーションの低下やパフォーマンスの低下につながる可能性があります。

逆に、P機能が弱くM機能が強い「pM型」の場合、組織のチームワークは保たれやすいものの、目標達成に向けてしっかりと計画を示したり、戦略を立てて引っ張ったりする必要がある場合には、困難を感じるかもしれません。

それに対し、P機能とM機能のどちらも強い「PM型」は計画力、管理力もあり、チームビルディングにも長けているリーダーです。ビジネスにおいては、PM型のリーダーこそが、目標達成と組織の維持・強化に高い意識を持つ理想的なリーダーと言えるのです。

PM機能それぞれの伸ばし方

それでは、PM型のリーダーに近づくために、P機能(目標達成機能)、M機能(集団維持機能)をそれぞれどのように伸ばしていけばよいのでしょうか。早速、確認していきましょう。

P機能を伸ばすために必要な取り組み

P機能である「集団の目標達成や課題解決を行う」ために必要な要素は、大きく2つに分けることができます。
1つ目は、「ゴールを提示し、ゴールへの意識とそこへ至る道のりのイメージを持たせる」という行動。そして2つ目は、「ゴールに向けた行動を徹底させる」という行動です。

1つ目の要素については、まずはリーダーが会社(組織)全体の目指すべき方向性を理解し、「自チームの役割や目指すべきゴールは何か」を的確に把握することが大前提となります。そのうえで、自チームのメンバーがゴールへの意識を常に高く持てるよう、繰り返しゴールや役割を伝える、またゴールを達成するためにやるべきことをかみ砕いて伝える必要があります。

しかし、"伝える"だけではそう簡単に目標は達成できません。そこで2つ目の要素である、「ゴールに向けた行動を徹底させる」ことが大切になってきます。例えば、「自身の行動についてコミットさせる」「適切なスパンで進捗管理を行う」ことでメンバー一人ひとりの行動が徹底されていきます。このような取り組みを続けることで、P機能を伸ばしていくことができます。

M機能を伸ばすために必要な取り組み

一方、M機能を伸ばすためにはどのような取り組みが必要でしょうか。「集団をまとめる」ために必要な要素は多数ありますが、ここでは「上司対メンバー」という縦の人間関係と、「メンバー対メンバー」という横の人間関係の2つに分けて考えていきます。

まず縦の人間関係においては、例えば月に一度の面談時間をしっかり確保してメンバーの思いを確認する、キャリアイメージを共有することで、信頼を獲得していくという方法があります。また、メンバー一人ひとりに日常的に声をかける、メンバーから声をかけられたときは手を止めて真剣に聞く、高圧的な態度にならないよう意識することも、縦の人間関係を良好に保つための大切なポイントです。

横の人間関係においては、例えば会議の場でチーム全員に考えを発表してもらう、メンバーの人となりや仕事において大事にしていることを共有する場を設けるなどの取り組みが有効です。ときには懇親会を開催するなど、業務と離れた場でコミュニケーションを取ることもよいでしょう。

このように、縦の人間関係と横の人間関係双方を強化することで、M機能を伸ばすことができます。

PM理論の活用場面

ここまでPM理論によるリーダーシップ像のパターン分けや、それぞれの機能の伸ばし方について説明してきました。PM理論を軸にリーダー個人が理想のリーダー像を目指すことはとても有益です。 このPM理論は、その分かりやすさ故、個人として活用するだけでなく、組織的にリーダー育成に注力したり、組織運営の強化を図る際にも活用されることが多々あります。 最後に、PM理論の活用例を3つ紹介します。

活用場面① リーダー候補者の強み・弱みの整理

自社・自組織のリーダー候補者を選抜し育成する際に、対象者それぞれの強み・弱みを整理することがあります。このときP機能とM機能に分けて強み・弱みを整理することで、候補者それぞれの現状と今後の育成ポイントが特定しやすくなります。また、各ポジションに誰を配置するべきかなどの判断もしやすくなります。
その他、リーダー自身が「自分はリーダーとしてうまくやれているか?」と自己評価する際にも、自己の行動をP機能とM機能に分けて振り返ることで整理がしやすくなるでしょう。

活用場面② リーダー像言語化の切り口として活用

組織が発展して人が増えてくると、「当社の(あるいは自部門の)リーダーはこうあるべき」を言語化することの重要性が増してきます。このとき、表1のようにP機能とM機能の2つの切り口から考えることで、偏りの少ない要素抽出ができます。

表1.リーダー像言語化の例

【P機能】
・目標を適切に要素分解し、適切な中間指標・中間目標の設計ができている
・目標達成のための実行計画を厳密に組み立て、実行している
・実行を徹底するために、適時適切な進捗管理・介入をしている
・組織ルールを率先して遵守し、メンバーにも守らせている
【M機能】
・メンバー間の人間関係や対立などにアンテナを張り、課題があれば解消している
・前向きな言動でチームを鼓舞し、組織の一体感をつくり上げている
・メンバー一人ひとりを気づかい、頻繁に声をかけて適切にフォローしている
・メンバーごとの持ち味に応じた役割を付与し、高い意欲で業務に取り組ませることができている

活用場面③ 自組織のリーダー陣のバランスチェック

PM理論の4タイプに、自社・自組織のリーダー陣をそれぞれマッピングしてみるという活用法です。組織としてどの型に厚みがあるか、どの型が手薄なのかを把握することができます。
例えばM機能が弱い(PM型、pM型のリーダーが少ない)場合、長期的な組織発展が難しい可能性があります。もしかすると、離職率が高い、社員間の対立が多く組織がぎくしゃくしている、などの事象が既に現れているかもしれません。

逆にP機能が弱い(PM型、Pm型のリーダーが少ない)組織だと、社員同士の仲は良いものの、お互いに指摘することを遠慮しがちで、高い成果を上げることができない、そんな"なれ合い組織"に陥ってしまっている可能性があります。
マッピングをもとに自社・自組織の組織バランスを検証し、課題をあぶり出すことで、組織体制の改善・強化につなげていくとよいでしょう。

「PM型」のリーダー育成に向けて

今回のコラムでは、PM理論の定義を確認しながら、P機能、M機能を伸ばす方法と、PM理論の活用例をご紹介しました。PM理論の考え方や、その理論を人材育成や組織運営に活用する方法はご理解いただけましたでしょうか。また、"理想のリーダー"に近づくためのヒントはつかんでいただけましたでしょうか。これならできる、これはやらないとまずい、と思ったものがあれば、本コラムを参考にぜひ今日から試してみてください。

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