アサーティブ|自他を尊重して的確に伝える技術

アサーティブとは、自他を尊重して相手に自分の意見や要望を伝えるコミュニケーションのことです。「忖度」「遠慮」「空気を読む」といった日本独特のコミュニケーションスタイルは、ビジネスの現場においては時として混乱を招く要因にもなりかねません。

本コラムでは、アサーティブコミュニケーションが身につくよう4つのプロセスに分解し解説しています。ぜひ参考にしていただき、ビジネスの現場でアサーティブコミュニケーションを活用してみてください。

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アサーティブ|自他を尊重して的確に伝える技術|人材育成コラム_3
目次

日本人はハッキリと自分の意見を言わない

日本のニュースを海外に発信する場所といえば日本外国特派員協会が頭に浮かぶでしょう。
「Mottainai」「Omotenashi」などは海外でも通じる有名な日本語なので翻訳が簡単ですが、海外ジャーナリストにとって一番困るのは「Sontaku」のように、海外にはない日本独特の文化を翻訳する時だそうです。

「忖度」「遠慮」「空気を読む」など、日本人は自分の意見をしっかりと言わず、相手に察してほしい、察してあげたいという想いが諸外国人と比べて強い国民と言えます。

この「ハッキリとは言わないけど察してほしい」という日本人独特のコミュニケーションスタイルは、時としてビジネスの現場では混乱を招いてしまいます。また、相手を受け入れる・気を遣うことが美徳とされるがゆえに、気づいた点、気になった点に目をつぶり、気が付けば大きな問題や顧客からのクレームの種となってしまうこともあります。
このような事態を引き起こしてしまうことのないように「アサーティブコミュニケーション」能力を身につけるようにしましょう。

アサーティブって何?その定義とメリットは?

アサーティブ(assertive)という言葉を聞かれたことがあるでしょうか?元々は「自信のある」とか「積極的な」という意味の形容詞ですが、人と人とのコミュニケーションにおいては、このアサーティブが上手であればあるほど社内の人間関係が良好になり、またビジネスもうまく進むようになります。

NPO法人アサーティブ ジャパン代表理事の森田汐生さんは、「アサーティブとは相手も尊重したうえで、誠実に、率直に、対等に、自分の要望や意見を相手に伝えるコミュニケーションの方法論」とまとめられています。

つまり、アサーティブコミュニケーション能力を身につけられれば、「言いたいけれど言えない」自分が「言いたいことを言える」ようになるのです。

もちろん相手の考えや環境なども尊重した上でコミュニケーションをとるため、その場の雰囲気や人間関係も壊れません。相手もこちらのことを聞いてくれる可能性が高くなるでしょう。また、相手が本音を話してくれる機会も増え、人間関係が深まる効果もあります。

日本人はアサーティブコミュニケーションが苦手

日本人は何かイヤなことがあった際に、心の奥底では頭にきているのに、その感情を表に出せず、悶々としてしまうことが多いのではないでしょうか?

会議において意見を求められても反対を表明せず、最終決定がされてから、後でぐちぐちと上司に文句を言い続ける。このようにアサーティブコミュニケーションが苦手な日本人と比べて、外国人は会議中にしっかりと自分の意見を述べ、周りを良い意味で巻き込みながら自身がイメージする方向性を示していきます。できればこういうコミュニケーション能力を身につけたいものです。

アサーティブコミュニケーションを私生活の場で想像してみよう

例えば「スーパーのレジで順番を抜かされた時」を想像してみてください。
人の対応は大きく3パターンに分かれるでしょう。

パターン1: 「順番は抜かすなよ」と思いつつも主張はせずに我慢をする『非主張型』のタイプ。

パターン2: 「人の順番を抜かすとは何事だ。ふざけるな!」と相手の状況を考えずに自分の感情を主張する『主張型』のタイプ。

パターン3: 「確かに列はわかりづらいけどみんなしっかりと並んでいるので、あちらから並びませんか?」と相手の気持ちも考えた上で主張する『アサーティブ』のタイプ。

もちろん、私生活でもビジネスでも、このパターン3『アサーティブ』タイプのように常に冷静に状況を見て、相手への配慮を持った上で主張ができるようになれば、周りから好かれるはずです。

では、どうやったら相手を尊重しながら誠実にモノを伝える、アサーティブコミュニケーションが取れるようになるのでしょうか。

アサーティブコミュニケーションを身につけるためのプロセスを4つに分けて整理してみましょう。

アサーティブコミュニケーションのプロセス

1.相手の気持ちを考える

まずは、相手の気持ちを考えることです。
レジの順番を抜かされたという事実だけで考えるとイラっとしてしまうかもしれませんが、相手にも何か事情があるのかもしれないと考えると良いでしょう。

  • ・この人は列がわかりにくいため、誤って順番を抜かしてしまったのではないか
  • ・店員さんに別の列から移動するように言われたのではないか

など、『相手が悪いという前提』で考えないことが大切です。

アサーティブは「自他を尊重した自己主張」なので、相手と自分、双方の気持ちを尊重して考えるようにしましょう。

2.客観的に伝える

「順番を抜かすなんて何を考えているんですか?」というように自分の感情を前面に出し、主観で伝えてしまうことが一番良くない例です。

このように主観で伝えると、伝えたことが事実に基づいた内容であっても、相手は感情的になりやすく、受け入れてもらうどころか口論になることもあるでしょう。

「皆さんあちらからレジに並んでいますよ」と客観的な事実を伝えれば、相手のことを否定していないので、相手も言葉を受け入れやすくなるはずです。

3.相手の話を聞く

客観的に伝えた後は相手の話に耳を傾けましょう。
「すみません、皆が並んでいるのがわからなかったので」と言って列に並び直してくれれば良いのですが、意見が食い違うこともあるはずです。もし相手の話に納得がいかない場合も一度は相手の言い分を受け止め、話を遮らないことが重要です。

特にビジネスの場では話を遮るのではなく、「おっしゃる通りです」「そうですね」などとあいづちを打ったり、相手の言葉を反復したりすることで、相手に『話をしっかり聞いてもらえている』と感じてもらいやすくなります。

4.論点を整理して伝える

相手の話を聞くことによって、なぜ相手が順番を抜かしたのかが明確になり論点がはっきりします。

例えば、「あなたの列の並び方が悪くて、列がわからなかった」と相手が言っている場合は、自分の並び方がわかりにくかったことについてお詫びをしつつ、多くの人の順番を抜かしてしまっているという事実を伝えて並び直してもらうのがよいでしょう。
感情が入ると論点がずれてしまう可能性が高いので、ここでも客観的に考えて伝えることが大切です。

いかがですか?アサーティブコミュニケーションに特殊なスキルは必要ありません。

    アサーティブコミュニケーションのプロセス
  • 1.相手の気持ちを考える
  • 2.客観的に伝える
  • 3.相手の話を聞く
  • 4.論点を整理して伝える

このようなプロセスで進めれば、アサーティブコミュニケーションの達人になれるでしょう。

アサーティブコミュニケーションはビジネスの場で必要不可欠

ビジネスの現場では、対お客さま・部下・上司など、あらゆる場面でアサーティブコミュニケーションが必要不可欠です。

例えば、「A社への提案資料と見積書を明日までに作ってくれる?」と上司から若手社員が頼まれ、「はい、かしこまりました!」と仕事を受けたものの、自分の仕事で手一杯なため、本当は断りたいが断れないなんてこともありますよね。

これをアサーティブコミュニケーションのプロセスに当てはめてみると、

  • 1.相手の気持ちを考える
  • ・上司が自分に依頼をしたのはなぜなのかを考える
  • ・自分に任せようと依頼をしてくれたことに感謝する

2.客観的に伝える
若手社員:「依頼いただきありがとうございます。申し訳ありませんが、今日中のタスクがいっぱいで他の業務に手が回らない状況です。明日中の提出が必須でしょうか」

3.相手の話を聞く
上司:「そうか。必須は明後日だけど明日中に提出したいんだよね。」

4.論点を整理して伝える
若手社員:「明後日中なら対応できるのですが、明日中に提出の場合は対応が難しく、かえってご迷惑をおかけしてしまう可能性があるので、他のメンバーにご依頼いただけますでしょうか?」

若手社員と上司の主張を整理すると、
若手社員:明後日までなら対応できるが、明日中の提出はムリ。
上司:仕事を依頼したい。できれば明日まで、難しければ明後日まで。
となります。

若手社員は自分の業務量から冷静に判断をし、明後日までなら対応できるが明日までなら対応が難しいと伝えており、自他を尊重した主張ができています。
もし、若手社員が期限を確認せずに断ったとしたら、自分の尊重が少し強いですし、一方で自分の業務が溢れてでも依頼を受けていれば、他者の尊重が強くなります。

自分と他者、両者が尊重するバランスを常に意識して、自他尊重のコミュニケーションを取る癖をつけてみてください。あらゆる場面でアサーティブコミュニケーションができるようになると思います。

「Sontaku」という日本人独特のコミュニケーションがビジネスの現場で存在していることは否定できませんが、これからの時代はしっかりとアサーティブコミュニケーションを身につけ、相手を尊重しながらしっかりと自分の意見を述べられるようになることが必要と言えるでしょう。

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