アドバンテッジ リスク マネジメント様
「『全社』で進める働き方改革」|事例

株式会社 アドバンテッジ リスク マネジメント 様
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従業員数
:227名(2017年1月1日時点)
主要業務
:メンタルヘルスケア事業・採用/EQソリューション事業
キーワード
:長時間労働の改善、育児中社員をサポートする社員への配慮
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小山美佳人事部長に話を伺いました
小山美佳人事部長に話を伺いました

長時間労働を徹底的になくす取り組みを推進しているアドバンテッジ リスク マネジメント。その背景には、女性に限らず、全社員の働きやすさを求める経営陣の思いがあるようです。3年前から社内で人材育成や女性活躍推進を積極的に進める人事部の小山美佳部長は、「働きやすい職場の実現には、育児中の社員への配慮はもちろん、独身者への配慮も忘れてはいけない」と話します。

「くるみん」マーク取得で女性が働きやすい環境づくりを加速

Q. “女性活躍推進”への取り組みのきっかけを教えてください。
A. 社長が外資系コンサルティング会社出身ということもあって、設立当初から社内にはダイバーシティを受け入れる風土がありました。女性が育児休職から復職することは当然という共通認識から、復職後も継続して働くことができる土台はあったと思います。そのような中、女性が働きやすい環境づくりをさらに加速させるために、2012年に「くるみん」の取得に向けて動き始めました。
Q. 「くるみん」取得の効果はいかがですか?
A. 活動計画には、男性の育児休暇、時短勤務の延長、看護休職の有給化など、従来の制度を充実させることに加え、パンフレットやマニュアルを作成して制度を理解してもらい、活用しやすい文化を根付かせることを盛り込みました。

その効果はいくつかありますが、まず、男性社員が育休を取ることに対する壁を取り払うことができたと思っています。以前は、様々な理由から育休取得を躊躇してしまうところが男性社員にはあったのですが、収入を過度に減らすことなく、短時間勤務をしながら育児をする方法や、奥さんが一番大変な出産後1か月だけ休む方法などを周知してきた結果、全国の男性の育休取得率が3%程度であるのに対して、当社では16%になりました。最近では、女性と同様に半年間継続して育休を取得する男性社員も出てきたんですよ。また、当社の女性社員は約120人で、常に10人ほどの社員が産休・育休に入っています。1割程度の社員が抜けても、通常通りの業務を維持できる体制が浸透しています。「くるみん」は、2014年に無事に取得することができ、現在は、「プラチナくるみん」の認定取得に向けて活動中です。
くるみん取得により、ますます女性が働きやすい職場環境に
くるみん取得により、ますます女性が働きやすい職場環境に

女性活躍推進には独身者への配慮も大切
働き方の効率化とも連動

Q. 女性活躍推進を含め、働きやすい職場づくりに向け、様々な取り組みを行っていらっしゃると伺っています。
A. メンタルヘルスを生業とする当社は、女性が働きやすい職場環境づくりという観点だけでなく、長時間労働の改善という観点からも、制度を開発、構築する役割を担っています。まずは自分たちが長時間労働をなくすために、試行錯誤して、より良い制度をつくっていかなければなりません。

そこで導入したのが「プレミアムノー残業デー制度」です。これは、17時まで勤務すれば、定時である18時前に退社しても18時まで働いたと見なす制度。社員全員にメリットがある制度はないかと役員が提案したのが始まりで、2017年4月から実施しています。今は年52回、単純に計算すると週1回の取得を奨励しています。

通常、「ノー残業デー制度」というと、「その日の自分の業務が大変になる」「別の日にしわ寄せが来るだけ」と“やらされ感”が強く、主体的に生産性を上げようという気持ちになりにくいことがあります。一方、プレミアムノー残業デーの場合、1時間早く帰ることができるので、その時間を使って映画を観に行ったり、習い事を始めたり、普段なかなかできないことができます。52日取得すると、1年間でおよそ1週間分の勤務時間を自分の時間に充てられるのです。この"お得感"を目標に、17時までに仕事を終わらせようと自ら意識して仕事に臨むようになり、生産性が向上したという声が聞かれるようになりました。
Q. なかなかユニークな制度ですね。評判も良いのでは?
A. 特に独身者からの評判が良いですね。社員アンケートでは、以前から「育児を支援する制度ばかりが手厚いので、独身者にもメリットがある制度がほしい」という回答がありました。やはり、育児をしながら働く同僚のサポートに回ることが多い独身者には、多少なりとも思うところがあるのでしょう。育児休職や育児中の社員向けの制度はもちろん必要ですが、サポートしてくれているメンバーへの配慮も必要だと実感しています。例えば、管理職や周囲の人が、サポートしてくれた社員に対してねぎらいの言葉をかけるとか、カバーしてもらった人が、カバーしてくれた人に感謝の気持ちを伝えるとか、当たり前のことではありますが、必要なこととして心がけている人が多いと思います。

また一部は、制度でカバーできればと考えています。当社では、カウンセラーにシフト勤務がありますので、どうしても独身者や男性が13~22時の「遅番勤務」を多く引き受ける傾向にあります。遅番は生活リズム上の負荷が高いので、引き受けてくれた人に少しでも報いることができればと、2017年4月から「遅番手当」を新設しました。
Q. 配慮があるとないとでは、周りの社員の気持ちも違いますよね。働きやすい職場づくりに向け、他に取り組んでいることはありますか?
A. 他部署への業務依頼や外部からの問い合わせは17時までとし、18時までに退社するよう促しています。また、残業が発生する場合は必ず事前に申請させ、社員一人ひとりの業務負荷や勤怠、労働時間を常にモニターし、負担が多いと判断された社員には個別の面談を行い、対策を検討しています。このような取り組みを続けた結果、平均残業時間は月11時間ほどで落ち着いています。

さらに、営業社員の直行直帰や、外出先でのノマドワークを柔軟に認めています。例えば、外出時の喫茶代を会社経費として負担し、アポイントメントの合間に喫茶店で仕事ができれば、時間を有益に使ってもらえます。会社に戻る交通費を考えると、決して経費増にはならないので、コスト面でも時間面でも合理的です。
Q. 業務の効率化や長時間労働改善を進める上で、何を意識したら良いのでしょうか?
A. 業務の効率化を求めるときには、効率ばかりを追求し、社内のコミュニケーションが少なくならないよう気をつけなければいけません。お互いを助け合う関係もコミュニケーションがあってこそ。仕事効率を優先させた殺伐とした職場環境にしないために、全社員が一堂に集まるイベントを開催したり、チャットによるコミュニケーションシステムを導入することで、オフィスにいないことが多い営業社員との交流も促進しています。
誰もが働きやすい職場づくりに向け、コミュニケーションを重視
誰もが働きやすい職場づくりに向け、コミュニケーションを重視

経営陣による「残業はイレギュラー」という意識改革

Q. 御社での取り組みを推進させるアクセルになったものは何だったのでしょうか?
A. 経営陣の意識の高さかもしれません。トップが諦めたら何も進まないでしょうね。当社では2013年から1年半、経営者と管理職が当番制でフロアを回り、残業をしている社員に対して退社を促す声かけ運動を実施しました。その結果、今では「残業はイレギュラー」という意識が社員に根付いています。経営者や管理職の意識が、社員一人ひとりの意識改革に大きく貢献したと言えます。
Q. 最後に、今後の課題をお聞かせください。
A. 様々な施策を導入し、残業時間削減などの効果は現れてきましたが、まだまだ社員の満足度を上げていかなければならないというのが正直なところです。例えば在宅勤務制度では、対象者を以前は育児や介護で出社が難しい社員に限定していましたが、最近は作業に集中したいなどの理由でも認め始めました。今後も社員一人ひとりのワークライフバランスに合わせて、対象を広げていきたいと考えています。特に介護問題への取り組みは出遅れていますので、これから力を入れて、制度を整えていかなければなりません。介護に直面した社員がどうすれば仕事と介護を両立できるのか、まずは人事が情報を提供することから始め、地域とも連動しながらサポートできる枠組みを構築していきます。
鳥越慎二社長(右)は社員と積極的に交流している
鳥越慎二社長(右)は社員と積極的に交流している

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