「各業界で活躍されているあの人は何がすごいのか?」をコンセプトに、各業界の有識者から"成長の秘訣"や"仕事論"を赤裸々に語っていただくHR×LEARNING スペシャルセミナー。2022年12月15日に開催したセミナーでは、国内外で多くのファンを獲得し続けている丸亀製麺のマーケティング戦略を担う南雲克明氏を講師にお招きしました。コロナ禍の影響が色濃く残る飲食・サービス業界においても、業績を伸長させつづけていることで知られる同社。その秘訣はどのようなところにあるのでしょうか?具体的な取り組み事例を交えつつ、丸亀製麺の「成果を最大化し、勝率を高める戦略」のヒントをお話しいただきました。

「共に想う」相手との「共創」から
「感動体験」を創り出す

株式会社トリドールホールディングス 執行役員 CMO 兼 KANDOコミュニケーション本部長 兼 株式会社丸亀製麺 取締役 マーケティング本部長 である南雲克明氏。数々の企業・ブランドにおいてマーケティング責任者を務められ、2018年よりトリドールホールディングスにご入社。(株)丸亀製麺では、“感動(KANDO)”を起点に、感性とデータを駆使し「ブランド力」と「顧客体験価値(CX)」を高め、持続的に選ばれる確率を高める『感動ドリブンマーケティング』を推進されています。

丸亀製麺といえば、コロナ禍で話題となった「丸亀うどん弁当」と株式会社TOKIO・地方自治体・お客様との共創で進められる「うどんで日本を元気にプロジェクト」が記憶に新しいところ。人気商品や注目度の高いプロジェクトの根底には、丸亀製麺がMV(ミッション・ビジョン)に掲げる「感動体験」があります。

セミナーでは、この「感動体験」を創り出すために丸亀製麺が基盤としている「共想(共に想う)」の考え方や、「共創」をテーマに企業とお客様をつなげ、パートナー企業をも巻き込み進めてきた戦略について、具体的な事例を交えながらお話しいただきました。

成果を最大化する成長哲学は
感動体験と非合理性の追求にあり

「成果とは“約束”である」と南雲氏は言います。今、南雲氏がマーケターとして追い続けている“約束”は、顧客価値を創造・提供し続けることでブランド価値を最大化し、感動によってファンを創造していくこと。2022年、丸亀製麺は「顧客体験価値(CX)ランキング2022」*で1位を獲得するとともにJapan Branding Awards 2022にて 「Best of the Best」*を受賞し、社外からも高い評価を得ました。(*どちらもインターブランドジャパングループ発表)

丸亀製麺には、「感動体験の頂へ」「二律両立の頂へ」「称賛共助の頂へ」という 3つの成長哲学があります。
「感動体験」は丸亀製麺の根源価値として徹底的に磨き抜き、他社が模倣しにくいビジネスを展開してきました。店舗スタッフも本社部門も「製麺所ストーリーがある感動体験 〜お店を感動の舞台に〜」を合い言葉に、業務に取り組んでいます。
「二律両立」は安易な道を選ぶのではなく、一見、相反するものを両立させていく先に、大きな成功があることを意味します。「手作り」と「スピード」の両立など、「そんなこと、できるわけがない」と思うようなところに挑み続けることで、多くのファンを獲得してきました。
このような哲学に基づいた南雲氏のマーケティング戦略は挑戦的でありながらも説得力があり、参加者の方からは驚きの声も。多くのファンを獲得し、かつ他社が容易に模倣できないビジネス・価値を創り出すためのヒントをご講演いただきました。

持続的に選ばれるための
確率を高めるために

丸亀製麺のマーケティング戦略の特徴は、お客様に選んでいただける価値と必然をつくり、持続的に選ばれる確率を高めることです。そのために、丸亀製麺ならではの手づくりのおいしさや丸亀食感という「機能的価値」、お客様がワクワクして幸せな気持ちになれる「情緒的価値」、そして共感できる価値観や活動、お客様との共創などに象徴される「つながっている価値」を重視。特に「つながっている価値」は、持続的に選ばれるために近年ますます重要になっているといいます。

丸亀製麺において、これら3つの価値を生み出す上で重要なキーワードは2つあります。

1つ目は、MVを軸とした「KANDO(感動)ドリブン」マーケティング×「データドリブン」マーケティングです。「KANDO(感動)ドリブン」とは感動体験を核として、お客様の五感と感情と記憶(本能)に訴えかけることで成長しようというKANDO(感動)を意思決定の最優先とするマーケティングのこと。商品開発、空間設計から接客や声かけにも反映されています。「データドリブン」とは勝率を上げるためにさまざまなデータを活用し、感性とデータを行ったり来たりしてマーケティング戦略・戦術を実践することです。

2つ目は、「共創・共想」です。株式会社TOKIOというパートナーとの共創による「うどんで日本を元気にプロジェクト」や、丸亀製麺のお客様との共創による「うどん総選挙」「天ぷら総選挙」などをご存じの方も多いでしょう。社会とブランド・個人が結びつく時代により大きなインパクトを出すために丸亀製麺は一方通行ではない「共創」の取り組みを続けています。そして、共創において丸亀製麺が大切にしていることは「理想や将来を、一緒に想い、語り、共感できるかどうか」という「共想」の概念です。お客様との共創、地方自治体との共創、パートナー企業や代理店との共創のすべてにおいて、「共想」があるからこそ「1+1=2」よりも大きな成果につながっていくのだと、南雲氏は語りました。

顧客の欲求や感動体験に注目する質問が
多く寄せられました

約370名の参加者からは、96%以上の方からの「期待通り」「期待以上」というご感想と共に、南雲氏の説明に対して「もっと詳しく教えて欲しい」という声が多数寄せられました。南雲氏は「表面的なものよりも奥底に潜んでいる本能的な欲求に訴えかけることで、新しい市場、新しい顧客を創造できる。」「お客様の購買意欲を高める「キードライバー」を探し、それを強めることが大切だ」と述べます。
感動体験やデータ、共想と共創を核としながら「志を持つ・信じる・やりきる」という姿勢でマーケティングを行うことの重要性と有効性を共有してくださいました。
今後も様々な業界から著名人をお招きし、皆様のビジネスのヒントをお届けします。詳細は、HR×LEARNING スペシャルセミナーの特設サイトにてご案内しておりますので、ぜひご覧ください。取り上げてほしいテーマやご要望、またどんな小さなお悩みでも、どんどんお寄せください。