人材育成への挑戦を続ける6社の取り組みを一挙公開! オンラインイベント「HR×LEARNING CONFERENCE 2022」を開催しました|イベントレポート|組織開発・人材育成

2022.03.10

当社は2022年2月1日、2日、オンラインイベント「HR×LEARNING CONFERENCE 2022」を開催しました。このイベントは、企業の経営者や人事・教育担当者の方々に、人材育成を推進するヒントをお届けする特別企画。各業界を代表する6社の人事・人材開発責任者より、自社と株式会社ラーニングエージェンシーとの取り組み事例や苦悩、そして人材育成に対する想いを共有いただきました。2日間にわたって行われたイベントの様子をご紹介します。

人材育成への挑戦を続ける6社の取り組みを一挙公開! オンラインイベント「HR×LEARNING CONFERENCE 2022」を開催しました|イベントレポート_3

人材育成を前に進めるためのヒントを共有

当社は2021年2月に設立15周年を迎え、15周年を記念した様々なプロジェクトの集大成として「HR×LEARNING CONFERENCE 2022」を開催しました。

少子高齢化に伴う労働人口の減少、ニューノーマルな働き方へのシフトなど、企業を取り巻く環境は大きく変わり、会社を支える「人」の成長や定着が企業にとって極めて重要なミッションとなっています。こうした状況の中、人材育成の変革に挑戦し続ける企業の事例を共有することは、経営者や人事・教育担当者の方々の糧になるに違いないという想いから、本イベントを企画しました。

今回のイベントレポートでは、各社様の取り組み事例をまとめてご紹介します。参考にしていただければ幸いです。

「社員の声」を拾い「地道」に取り組む大切さを共有した1日目

株式会社ビームス

株式会社ビームス
トップバッターは、アパレル業界を代表するビームス様。人事室人材開発部の石切山哲也氏にご登壇いただき、人事制度改革のきっかけや新制度構築までのプロセス、また新制度の全体像などをお話しいただきました。

2018年に実施した全社アンケートで、「ビームスが好き」と答えた社員が約9割に上る一方、多くの社員がキャリアに不安を感じていることも判明した同社。頑張りたい人が頑張れるビームスの実現に向けて、人事制度の改革に踏み切ったと言います。

制度改革において、ことさら大切なのが新制度を全社に共有し浸透させるためのプロセス。制度変更説明会を実施したほか、当社の評価者研修も活用し、管理職・マネージャー層に"育てる"という認識を正しく持ってもらうことで、新制度の共有・浸透を図っていきました。しかし今振り返ると、「新制度の中身や詳細を丁寧に伝えることには注力してきたが、なぜ制度を変更するのかという腹落ち感の醸成が不足していた」と石切山氏。自社の反省点を踏まえ、「真摯に地道に」社員に伝達していくことの大切さを共有してくれました。

三井住友カード株式会社

三井住友カード株式会社
続いてご登壇いただいたのは、三井住友カード様。人事部研修グループ/ダイバシティ推進グループの島岡秀明氏に「自ら学ぶ人材」をどう育てたらいいのか、同社の人事制度・研修制度改定の取り組みをもとに、そのヒントを共有いただきました。

自ら学ぶ組織、自ら学ぶ人材を育てる特効薬はないことを前提に、マネジメント層も巻き込んで改革を推進した同社。部下の学習に対する上司の関わり方で、部下の学習意欲は変わることから、学びを支援する重要性を何度も説明したほか、上司が部下に向き合うための様々な枠組みを構築したと言います。ただし、上司側に「やらされ感があるとうまくいかない。何でやる必要があるのか、しつこいくらい説明しないといけないし、人事がそこをサポートする姿勢も必要」と島岡氏。マネジメント層の意識改革を図るうえでのコツも披露していただきました。

ビームス様に続き、ここでもキーワードとして出てきたのが「地道」な取り組み。自社の課題を認識して、地道に、あきらめずに前に進める必要性を熱く語ってくれました。

株式会社NTTドコモ

株式会社NTTドコモ
3社目のNTTドコモ様からは、スマートライフ推進部人材育成担当の二宮一文氏、堀井真琴氏、桜井郁歩氏にご登壇いただき、「スペシャリストの育成」と「コミュニケーションの活性化」という育成の2本柱についてお話しいただきました。)

同社の取り組みの中で特に印象的だったのが、1on1の取り組み。上司も部下も言いたいことが言い合えていなかったことから、部下の価値観を知る場として1on1を開始したと言います。

この1on1を有意義なものにするため、管理職向けの勉強会や研修を実施し、模擬1on1などを通じて現場での実践につなげているだけでなく、部下側にも1on1の必要性・重要性を伝えているという同社。さらに、毎月、上司・部下の双方に対してアンケートを実施することで、現場の声を吸い上げています。「どうしても価値観がかみ合わないといった声が上がってくる。少しでも現場での課題解決の手助けになるよう、人事から上司・部下に声をかけるなど、上がってきた声に1つずつ対応するようにしている」と二宮氏。人事・上司・部下の3者で1on1をつくりあげている様子を教えてくれました。

当社と"共に"進めた育成プロセスを多数披露していただいた2日目

株式会社オークラ ニッコー ホテルマネジメント

株式会社オークラ ニッコー ホテルマネジメント
2日目は、オークラ ニッコー ホテルマネジメント様から講演を開始。管理本部総務人事部の都築智津子氏にご登壇いただき、同社のGM(総支配人)育成プロジェクトを成功へと導いたプロセスをご紹介いただきました。

欧米諸国に比べ圧倒的にGMの育成基盤が不足している日本で、社内教育と外部リソースの活用でプロジェクトを推進していった同社。従来の幹部養成研修では、受講してもGM以外へアサインされるケースがあったことから、新プロジェクトでは研修プログラム修了とGMへのアサインを一連のキャリアパスとして提示することで、「受講したら必ずGMになる。そのために学びたい!」という意志の確認につなげたと言います。

プログラムへの参加者の選抜においては、「選抜というと優秀な人ばかりを選びがちだが、ALL DIFFERENT株式会社さんから『伸びしろがある人、つまり研修を受けて伸びてくれる人を選びましょう』と提案を受けた」と都築氏。自社にはない新鮮な発想が成功につながったというエピソードを披露してくれました。

アウディジャパン販売株式会社

アウディジャパン販売株式会社
続いて、アウディジャパン販売様からは人事部の福井茂貴氏にご登壇いただき、同社の文化を構成する「ビジョン(目指すべき姿)」「パーパス(自社の存在理由)」「バリュー(行動指針)」をどうつくっていったのか、またそれら3つをどうつなげて人財開発・組織開発を展開していったのか、ご自身の想いも交えお話しいただきました。

講演の中で、"共に創る"ことの重要性を繰り返し説いた福井氏。「人と組織の取り組みを推進するには人事だけが動いても意味がない。店舗と一緒に創る。人事のチームの中で共に創る。また、チームや同僚、さらにマネジメントや店長の意見も聞いて、スタッフの視点も交える。そして、ALL DIFFERENT株式会社さんと共に創ってきた」と一連のプロセスを振り返り、「一言でいうと楽しかった。熱をもって"共に創る"ことが、人と組織の取り組みには大切だということを体感した」と、人財開発と組織開発に対する熱い想いを語ってくれました。

ニチバン株式会社

ニチバン株式会社
本イベント最後の登場となったのは、ニチバン様。管理本部人事部の小林祐子氏に、新入社員の即戦力を磨くための取り組みについて共有いただきました。

内定者教育、新入社員教育、配属後のOJTにおける課題を1つ1つ検証した結果、これら3つの取り組みを"線"でつなげた一貫した育成に行き着いたという同社。このコンセプトをもとに、内定期間は社会人への階段の先取り実践を意識した教育へと変化させたほか、入社後の新入社員教育では人事が上司役となり、配属後の職場を疑似体験できる取り組みも実施。さらに配属後のOJTでは、指導方針の一貫性を保つため、新入社員を指導した講師がOJTトレーナー教育を担当するなど、"線"でつなげるための様々な工夫を披露してくれました。

また、当社の『実践型プログラム』もご活用いただきながら、研修の運営を新入社員に任せることで、実践力や自主性の向上も目指した同社。ただし、「"任せる"ことと"勝手に判断し勝手に動く"ことは違う。そのため、報連相の徹底は欠かせません」と小林氏が語るように、ビジネスの基本に立ち返る必要性を感じさせる講演となりました。

次の15年も「人と組織の未来づくり」を全力で支援していきます

700名を超える経営者、人事・教育担当者の皆さまに人材育成に関する様々な学びを共有できた2日間。1日目の3講演を終え当社の根本は、「考え抜いた明確な目的があるからこそ、三者三様の自社らしい制度が生まれている。また一般的に、『これをやりなさい』などとトップダウンでやらせるケースも多いが、"やらせる""従わせる"ではなく、共通の目的・目標に向け、"共に創る"というスタンスこそが、周りに熱意を伝播させ、周囲を巻き込むことにつながっている」など、各社の取り組みのポイントを総括。さらに、「人材開発・組織開発は言い換えると、人と組織の未来をつくる活動だと思っている。人と組織の未来づくりを今後も全力でサポートさせていただく」と熱く語りました。

また2日目の講演を受け当社の小林は、「3社の共通点は、行動・意識をどのように変化・進化させたのか。行動・意識を変えるには研修受講者に対する関わり方を変えるべきである。積極的な参加を促すには問いかけを多用する、理解を深めるには受講者同士で教え合う場をつくる、講義内容だけでなく日々の業務の悩み・改善点を見いだすグループワークを行う」など、事例を活かすためのアドバイスを送るとともに、「当社が皆さまのハブとなって、人事や経営者の方々が悩みや事例をお互いに共有する場づくりをすることで、人と組織の未来づくり、社会の課題解決につながっていくと考えている。今回のようなイベントを、様々な会社の方とコミュニケーションを取るきっかけにしてほしい」と語り、イベントを締めくくりました。

登壇者、参加者の皆さまのおかげで満足度96%と大盛況のうちに幕を閉じたHR×LEARNING CONFERENCE 2022。当社は今後も、イベントやセミナーの開催、また各種サービスの拡充を通じて、皆さまの人材育成・組織開発を支援していきます。次の15年、さらにその先の活動にご期待ください。

参加者へのエールもいただきました!

本イベントでは、登壇者の皆さまから参加者に向けメッセージを送ってもらったほか、各講演後に参加者との質疑応答も実施。その中には、自社の取り組みに活かせる様々なヒントが詰まっていました。いくつかピックアップしてご紹介します。

ビームス・石切山氏
「ビームスには本当に様々な人材がいるが、"その一人ひとりのことが好き"という想いが私自身の原動力。そのメンバーたちに"ここで活躍していることが嬉しい"と感じてもらえる状況をつくっていくことが、育てる側の幸せにもつながると感じています」

三井住友カード・島岡氏
「研修会社は様々な情報を持っているだけでなく、自分たちでは気づかない課題に気づかせてくれる。幅広いパイプを持って、研修会社のノウハウを"使い倒す"くらいの意識でお付き合いをしていくことも大切です」

NTTドコモ・二宮氏
「育成するうえで困っていることはないか、現場の声をきちんと吸い上げる。そして、"困ったことがあったら人事が一緒になって考えてくれる"という関係を築く。その積み重ねで文化は浸透していくのだと思います」

オークラ ニッコー ホテルマネジメント・都築氏
「ALL DIFFERENT株式会社さんは、ホテル業界やGMという仕事を理解するのに非常に努力してくれた。課題を"共に解決しよう"という姿勢も示してくれ、外部ならではの提案もしてくれた。それがパートナーに選んだ理由です」

アウディジャパン販売・福井氏
「(パーパスやビジョンの浸透には)発信し続けることが重要。発信する際は『パーパスを体現するためにこういう取り組みをする』というように、根底にパーパスがあることを紐づける。こうした"日常の会話"が非常に大切だと感じています」

ニチバン・小林氏
「新入社員教育は、長い社会人人生の"1年生を預かる"ということ。最初に訓練を受ける場所の影響は本当に大きい。責任感と使命感を持って、これからも改革を続けていきたいですね」

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