若手社員の育成で気をつけるべきこととは?自立した社員を目指すために

published公開日:2021.01.25
大事な戦力となっていた主力社員が、いつまでも最前線でプレイヤーとして活躍できるわけではありません。新入社員はともかく、若手社員をなんとかして業績に大きく貢献できる主力に育成したいという思いは、すべての企業の悲願といえるでしょう。 ただ、それには立ちはだかる「若手社員育成の壁」を打破しなくてはなりません。そのためには若手に対する充分な理解が必要です。本コラムでは、若手社員の育成が難しい理由と、スムーズに育成するためのコツを解説します。

若手社員の育成が難しい理由

若手社員の育成で気をつけるべきこととは?自立した社員を目指すために|コラム|人材育成・教育研修_1

若手社員の育成が難しいのは、「今までの育成方法が通用しない」ことが主な理由として考えられます。そこにはいったいどのような要因があるのでしょうか。

価値観の違い

今の時代、企業における人材教育は一般に、「困難な状況下であっても冷静に自分で考え、周囲の人を巻き込んで成果を上げる人材に育てること」が目標です。一方で企業の現場では、若手社員世代の次のような特徴がしばしば指摘されています。

  • ・真面目だが、失敗を極端に恐れ、チャレンジを避ける傾向がある
  • ・情報収集能力は高いが、収集した情報を整理し思考する力は低め
  • ・コミュニケーション能力は低め

例えば、失敗を極端に恐れる若手社員は、無理やり演習をさせてもなかなか決断できず、指示待ちになってしまうなど、周囲に流されることがよくあります。この場合、昔の「チャレンジして失敗から学べ」という価値観だけでは育成はもちろん、理解さえできないかもしれません。
上記はあくまでも一例ですが、価値観の違いは、他のあらゆる考え方にも見られます。しかし若手社員がどんな価値観を持つにせよ、仕事ができるようになりたい、能力や知識を身につけたいと願っていることは確かではないでしょうか。
教育係は、このような若手社員の価値観を踏まえた上で、彼らに合った育成を検討し、取り組む必要があると言えます。

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知識ゼロであることを前提としていない

教育係に任命された社員は、きっとプレイヤーとして優秀な点を買われていることでしょう。ただ往々にしてプレイヤーは「自分のやり方が正しい」と思うあまり、そのやり方を押し付け、相手にわかってもらう配慮が足りないことがあります。もちろん知識や経験が少ないとはいえ、若手社員側もきっと教育係の伝えたいことを理解したいと思ってはいるはずなのです。
そんなとき有効なのは、若手社員がわかるレベルまで戻って教えるという方法です。ときにはまったくのゼロまで戻ることもあるでしょう。そんなときも「社会人なのにこんなことも知らないのか」と怒るのではなく、むしろそうしたことを教えるのが教育係の使命と考えるべきなのです。
入社年数や履歴書の内容、周囲の評判に惑わされることなく、教育係は若手社員の育成について、知識ゼロから教えることもあり得ることをわきまえておく必要があります。

充分な時間が与えられない場合がある

若手社員とは意識や考え方に違いがあることはわかっていても、それを理解するには時間がかかるのが普通です。企業の多くは時間効率を重視し、ともすれば内容はともかく時間内に形になればよしとすることもままあります。ただ一定の時間内では、育成や教育は成果が明確にわかりづらい典型的な例だといえます。
本来は、だからこそ育成には時間を割くべきであり、そうした中でもできる限り短い時間で育成する工夫を追求する必要があるのです。しかしそれらのバランスがうまく取れていないことが多いのが現実だといえます。

若手社員の育成で気をつけるべきポイント

若手社員の育成で気をつけるべきこととは?自立した社員を目指すために|コラム|人材育成・教育研修_2
若手社員の育成は難しいかもしれませんが、どのようにすればスムーズに行えるのでしょうか。ここではその3つのコツを解説します。

コミュニケーションを密にする

「コミュニケーションが苦手」という若手社員には、教育係から積極的にコミュニケーションを取ると信頼関係を作りやすく、育成がスムーズに進められるでしょう。
またその際は、「あなたは組織からこういう役割を求められている」とわかりやすくはっきり伝えると、素直に理解し、納得してもらえます。いわば「仕事の目的」がはっきり定まることで、若手社員は積極的に仕事に取り組めるようになるのです。
だからこそ適切な信頼関係があれば、若手社員は教育係の言葉を前向きにとらえられるようになり、素直に受け入れやすくなるはずです。

適度な距離感を保つ

どれほど信頼関係があっても、親と子、または兄弟姉妹というわけではありませんから、育成する側とされる側としての立場ははっきりと分ける必要があります。関係が近すぎると度を過ぎた甘えになり、遠すぎると伝えたいことが伝わらず、どちらにしても育成効果が上がりにくくなります。育成過程では適度な距離感を保ち、プライベートでも一定のけじめをつけ、メリハリのある関係でありたいものです。

積極的にやる気を引き出す

若手社員の育成には、それぞれの内発的なやる気や主体性を引き出す目的もあります。やる気には段階があり、例えば10段階に分けて考えるとすれば、命令されて行動するのがレベル1なら、レベル10は仕事の意義を熟知して納得し、自ら責任を持って行動することだといえるでしょう。
若手社員の育成過程で、レベル10になってもらうことが必須ではないかもしれませんが、例えばレベル2、または3で感じられる充実感の変化、またそれを楽しいと思える自分を知ってもらうことはできるはず。やる気を引き出すため、教育係は積極的にコミュニケーションを取って信頼関係を作りましょう。

若手社員育成のゴールは自立である

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若手社員育成のゴールは、本当の意味で自立することです。言い換えれば、通常業務が一人でも問題なく遂行できるよう、基本行動を正しく習慣化して無意識に実践できるようになることであり、一人の社会人としての土台の完成であるといえます。
教育係は、まさにこのゴールのために、価値観の違いに配慮し、信頼関係の構築や、積極的なコミュニケーションを取ることが求められるのです。そのためには、単なる技術や手順を覚えさせることではないことを常に心がける必要があります。

自立を意識した若手社員育成を

若手社員に限らず組織での人材育成では、方法が適切でないことや教育係の準備が不充分などの理由で、満足のいく育成効果が得られないこともよくあります。
しかし、若手社員は「学びたい」「できるようになりたい」と願っているはずです。教育係はだからこそ、積極的なコミュニケーションで適切な距離感の信頼関係を作ることが求められます。それは「自立」を目指し、自らのやる気による行動で充実感を体験してもらうためといえるでしょう。
現代社会において教育係には、「若手社員の自立」というゴールを意識しながら、様々なテクニックを駆使して育成にあたることが求められているのです。

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