OJT研修とは?意味・目的と効果的に進める方法を紹介|コラム|人材育成・社員研修

OJTは現場における育成の要です。一方で、そのOJTが「機能していない」ことにお悩みを抱えている企業も多くいらっしゃるのも事実です。今回は、OJTを「機能させる」ための施策の1つとしてあげられるOJT研修を掘り下げ、効果的なOJT研修を実現させるポイントをお伝えします。

OJT研修とは?意味・目的と効果的に進める方法を紹介|人材育成コラム_3

OJTとは?

OJTとは?|効果的なOJT研修の実現のために|人材育成コラム_3

OJTという言葉はビジネスパーソンの皆さまなら、誰もが一度は耳にしたことのある言葉でしょう。OJTとは「On-the-Job Training」の略で、職場での実践を通じて業務知識を身につける育成手法のこと。経験豊富な職場の上司や先輩が、実際の業務を題材に若手社員や後輩に知識や技術を計画的に伝えることで、研修やマニュアルだけではなかなか実践につながらない知識・スキルを身につけることができるのが大きな特長です。

また、OJTとよく比較されるOff-JTについても少しだけ触れておきます。
Off-JTとは、「Off-The-Job Training」の略で、研修など実務の場を離れて行う教育施策のこと。皆さまの会社でも、新入社員研修や管理職研修、また個別のスキルを高めるための研修など、様々なOff-JTを実施していることと思います。

Off-JTでの知識インプットは非常に大切で、効果的な育成手法ですが、Off-JTで学んだことをOJTで繰り返し実践することで、より早い知識の定着が期待できます。そのため、OJTとOff-JTをうまく組み合わせて実施することで、より効果的な社員教育が実現できることを頭に入れておくとよいでしょう。

OJTのメリット・デメリット

以前のコラム「"経験"を"成長"につなげるには? 部下が自然に動くようになる『仕事の任せ方』」でも触れたように、ビジネスにおいての学びは、7割を仕事の直接経験から、2割を先輩や上司の助言からと言われています。OJTは人材育成においてとても重要な手法の一つであると言えるでしょう。

しかし、OJTはとても誤解されやすい育成手法でもあります。例えば、「OJT=目の前の仕事を教えること」という誤った理解から、「目先の仕事のやり方を教える」ことに注力しているOJT担当者も多いのが実情です。OJTは、「意図的・計画的・継続的」に行うことが大前提で、場当たり的に実践しても成果にはつながらないと言っても過言ではありません。

そのため、まずはOJTの意味や意義、メリット・デメリットを正しく理解する。そのうえで、正しい取り組みにつなげていくことが大切です。

OJTのメリット

では、OJTはどのようなメリットをもたらすのでしょうか。教えられる側だけでなく、教える側である上司・先輩、さらには会社にとっても大きなメリットが期待でき、具体的には下記の項目が挙げられます。

    <教えられる側のメリット>
  • ・実際の仕事を通して実践的なスキルを学べる
  • ・フィードバックをすぐに受けられる
    <教える側のメリット>
  • ・指導者として成長する
    <会社としてのメリット>
  • ・社内コミュニケーションが活性化する
  • ・講師を外注しないため、育成コストを抑えられる

OJTのデメリット

一方で、OJTには下記のようなデメリットがあることを忘れてはいけません。

    <教えられる側のデメリット>
  • ・指導者の能力によって効果に幅が出る
  • ・体系的に学びにくい
    <教える側のデメリット>
  • ・教育計画の作成などに手間がかかる
    <会社としてのデメリット>
  • ・教える側のリソースを、直接的に成果を生み出す業務以外に割くことになる

OJT実施の際には、このようなデメリットに注意しつつ、計画的に指導を進めていきましょう。

OJT研修とは?

OJTに取り組むことの意義やメリット・デメリット、またOJTとOff-JTの相乗効果についてご理解いただけましたでしょうか。ここからは、お客さまからしばしば相談を受ける、「どうしたらOJTがうまくいくのか」、そのポイントを考えていきます。

OJTを機能させる施策として、OJT担当者同士のつながりをつくる、OJT担当者が称賛を得られる機会をつくるなど様々な取り組みがあります。当社では、これらの取り組みに加え、育成対象者の指導に必要なスキルやマインドを学ぶ「OJT研修」の実施・受講をお薦めしています。

では、OJT研修はなぜ行うのか? その目的をもう少し詳しく見ていきたいと思います。

1. OJTの正しい取り組み方を理解する

冒頭でもご紹介したとおり、OJTは場当たり的に実践しても成果にはつながりません。そのため、以下に示す「意図的・計画的・継続的」という大原則にのっとりOJTに取り組む必要があることを理解してもらうのが1つ目の目的です。

意図的
どのような目的をもってそのトレーニングを行うのかをOJT担当者が理解していること
計画的
しっかりとした育成計画に基づいてトレーニングが行われること
継続的
反復的に、また段階的にトレーニングが実行されること

2. OJT担当者のマインドセットを変える

2つ目の目的は、OJT担当者のマインドセットの変革を図ることです。OJT担当者は、自身の業務と並行して育成対象者の育成支援を担当するケースが多く、どうしても大きな負担がかかってしまいます。そのため適切な意義づけを行わないと、自身の業務を優先してOJTに時間を割かない、あるいは、OJTの目的を理解しないまま場当たり的な指導を行い、OJTが形骸化してしまう恐れがあります。このような事態を避けるためにも、OJTの意義ややりがいを伝え、OJT担当者としての意識・自覚を持たせる必要があります。

OJT研修では何を伝えるべきか

では実際に、OJT研修ではどのようなことを実施するのか。ここからは、OJT研修の進め方を見ていきます。OJTは一般的に、「育成計画の策定」「業務の量と質の選定」「業務遂行」「内省支援」の4ステップで行われるため、OJT研修ではこの4つのステップそれぞれのポイントを解説し、理解を深めてもらうことが一般的です。

(1) 育成計画の策定

「意図的・計画的・継続的」にOJTを実践するうえでは、育成対象者にどのような業務をどのタイミングで経験させるかを吟味し、育成計画に落とし込むことが重要です。育成計画のポイントは、以下3点を明文化することです。

  • ① 部下・後輩にOJTを通じてどのような仕事ができるようになってもらいたいか
  • ② そのために必要な具体的な知識、スキル、経験は何か
  • ③ 上記の状態に到達するために「どのような仕事を/どのように/どのタイミングで」与えるか

(2) 業務の量と質の選定

OJT担当者は、育成対象者に与える業務の量と質に注意して指導する必要があります。なぜなら、もし業務の量・質ともに本人の力量を大幅に超えるようであれば、育成対象者が業務遂行を諦めてしまう可能性があるからです。一方で、育成対象者の力量を大幅に下回るようであれば、仕事への甘えや退屈さを誘発してしまいます。質の高いストレッチな業務とそうでない業務の比率は20:80程度にすることをお勧めします。育成対象者の力量を適切に把握し、任せる業務の量と質のバランスをコントロールしましょう。

(3) 業務遂行

業務遂行では、OJT担当者が育成対象者を指導しつつ、実際の業務を進めさせます。具体的には、まず業務の概要や意義を伝え、最初はOJT担当者が行っているところを観察させます。次に、横で見守りながら同じことを本人に行わせます。一通りできるようになったら、最後に本人だけで進めるという手順にします。

(4) 内省支援

最後のステップは内省支援です。内省支援を行うことで、その業務の定着率が飛躍的に高まります。内省支援は「振り返り」と「概念化」から構成されます。「振り返り」では、行った業務が成功したか、あるいは失敗したかを確認させ、成功あるいは失敗の理由を探り、その背景となる原因について考察させます。

また「概念化」では、次に同じ業務に従事する際に活かせる教訓は何かを考えさせます。そうすることで次に同じ業務に取り組む際にうまくいく確率が高まり、また類似の業務への適応力も期待できます。

OJT研修では、この4つのステップを理解することで、実際に指導する際のイメージをつかんでもらうことが大切です。

OJT研修の効果を高めるポイント

最後に、OJT研修の効果を高める4つのポイントをご紹介します。

1. OJT担当者を決め、レディネスの形成を行う

レディネスとは、学習の成立にとって必要になる「前提知識や経験」「心身の準備性」のことを言います。体系的なOJTを行っていくうえで、当然、OJT担当者を選出した理由やOJT担当者に期待する役割があるはずです。人事担当者や管理職(OJT担当者の上司)は、OJT担当者をOJT研修に送り出す前に、これらの理由や期待を適切に担当者に伝え、レディネスの形成を行うことが求められます。

2. 若手社員の傾向を理解する

OJT担当者が、育成対象者である若手社員の傾向を理解しておくことは非常に重要です。特に、昨今の新人は「自動ブレーキ型」や「経験前の学習」と言われるように、「言われたことは確実にこなす一方、失敗を極端に恐れ、不安があると行動に移せない」といった傾向が見られます。

例えば任せた仕事の難易度が育成対象者にとって高い場合、育成対象者はOJT担当者に失敗したと認識されるのを恐れ、相談に来ない可能性が出てきます。そのため、OJT担当者は積極的に育成対象者と関わりを持ち、心理的安全性を高める必要があります。一方で、万が一失敗した場合でも、相談しやすい関係性を構築しておくことも重要になってきます。育成対象者にとって最適なアプローチを取るためにも、若手社員の傾向を知っておくことは必須です。

3. OJT研修にワークショップやケーススタディを取り入れる

OJT研修にワークショップやケーススタディを組み込むことで、研修参加者の学習定着率が向上します。ワークショップは、自分の知識や経験を振り返り、思考する良い機会になります。例えば教育のゴール設定や教育計画の策定、それに伴う業務の選定などを考えさせるとよいでしょう。
また、ケーススタディは「現実に起こりうるケース」を用意し、研修参加者に思考させ、アウトプットさせることで、行動のイメージをつけさせます。例えばOJTの現場でよく起こる失敗例や、内省支援の手法などを扱うとよいでしょう。

4. OJT担当者の内省を行う

OJT研修で知識を学んだのだから、あとはOJT担当者だけに任せればよいかというと、そうではありません。OJT担当者がOJTを通じてどのような成功・失敗をし、そこから何を学んだのかを振り返る機会を意図的に設け、内省を支援することも大切なポイントです。

ただし、あくまで指導ではなく支援。管理職(OJT担当者の上司)のモノの見方や考えを押しつけるのではなく、問いかけによってOJT担当者の思考を促すことが重要です。また、OJT担当者が自己の振り返りをする際には、研修テキストを見返すよう勧めることも、気づきを促すうえで有効です。

まとめ

今回のコラムでは、OJTの基礎知識のほか、OJT担当者を育成するためのOJT研修についてご紹介しました。お伝えしたように、OJT研修は取り入れるべき内容や注意すべき点が非常に多く、内製で実施するのは難しいと感じる企業もいらっしゃるかと思います。しかしOJTは、若手社員の成長、ひいては組織力の向上につながる重要な取り組みで、効果的なOJTを行うためにもOJT研修はぜひ取り入れてほしい施策の一つです。当社でもOJT担当者向けの研修を実施していますので、ぜひ外部の研修もうまく活用し、OJTを成功に導いてください。

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