人材アセスメントとは?意味や必要性を解説

published公開日:2022.06.09
目次
本コラムでは、人材アセスメントに関する基礎知識や活用方法、メリットなどについてまとめています。
採用業務や人材配置、育成になぜ人材アセスメントが有効と言われるのか掴み、ぜひ取り入れてみてください。

アセスメントとは「評価・査定」という意味

アセスメントの語源は「assessment(評価・査定)」という英語です。今回の記事ではビジネスシーンで使用される「人材アセスメント」について紹介しますが、アセスメントという言葉自体は広い分野で使用されています。

例えば、環境アセスメントという言葉です。大規模な開発が行われる際に環境へ配慮されているかを評価するために使われます。また、看護の分野では、患者の状態の原因や誘因を評価して記録することを言います。このように、対象となるものを評価・査定する場合に「アセスメント」という言葉が使われています。

では、人材アセスメントについて詳しく見ていきましょう。

人材アセスメントとは

人材アセスメントとは、人材を客観的な指標や数値に基づいて評価・査定すること、またその評価や査定が行えるツール等を指します。

人材アセスメントを用いることで、上司や経営者の主観ではなく、客観的で定量的な視点から評価や査定が行われるのがポイントです。外部機関や外部サービス、第三者などが実施するため、透明性が低い・適切な評価ではないといった不満につながりにくいのがメリットです。

主観的な評価は、被評価者が納得できる評価を得られている場合は問題ありませんが、納得できる評価を得られていない場合、「透明性にかける」、「よくわからない評価システムによって査定が行われている」という不満につながる恐れがあります。

人材アセスメントを活用することで、そうした不満の解消が期待できます。

主な人材アセスメントの種類

人材アセスメントにはいくつか種類があります。代表的な人材アセスメントを見ていきましょう。

(1)適性検査

アンケートやテスト形式で行われる人材アセスメントです。採用前や査定前などに実施し、自社や部署、業務などに適正があるかを図ります。回答する項目に偏りがないため、一人ひとりの考えや能力を公平に評価できる方法です。目に見えていなかった特性に気づくこともできるでしょう。配置転換や昇進のために使用されるケースもあります。

(2)多面評価(360度評価)

上司だけでなく、同僚や部下、取引先など複数の人間によって評価を行う方法です。例えば、A部署から見たら特に目立たない従業員が、B部署から見たら活躍が著しいと評価されているなど、従業員の見えにくい評価のポイントを発見できます。上司や経営層からは見えにくい現場で働く従業員の活躍が知れる機会となるでしょう。

(3)アセスメント研修

アセスメント研修は、従業員に対して行う研修です。部署や業務内容に適しているかを、研修を通して評価・査定していきます。受講者が研修時にどのように考え・行動したかを評価するシステムです。

アセスメント研修は、シミュレーションという形で行われることが多い人材アセスメント。企業ごとにどのような人材が欲しいかは異なるため、研修内容をあらかじめ評価者と詰めておく必要があります。知識量を図りたいのか、業務フローの理解度を図りたいのかなど、評価の目的に合わせて内容を設定しましょう。

なぜ人材アセスメントが必要なのか

グローバル化やダイバーシティなど、近年はより個を重視した時代となっています。そのため、従来の年功序列型で画一的な評価では、従業員が持つ個性が生かしきれない課題があるのです。

また、少子高齢化に伴い企業の長期的な生産性向上も課題です。しかし、従業員を適切に評価しマネジメントできる人材も少ないことから、人材アセスメントと言うツールを用いて効率的かつ効果的な人材の評価が、企業成長に欠かせなくなっているのです。

人材アセスメントを取り入れるメリット

企業が人材アセスメントを取り入れるメリットについて、人事評価や従業員の心情などの面から解説します。

(1)従業員が評価を受け入れやすくなる

テストやアンケート、シミュレーションなどは、結果に上司や経営者の主観が入りません。定量化された項目を満たしているかを客観的に図れるため、従業員から見ても透明性が高く、公平な評価がされていると感じられます。そのため、結果が良くても悪くても、従業員が受け入れやすいのも特徴です。

従来の「人が人を評価する」制度の全てが悪ではありませんが、信頼関係をしっかりと築けていないと「嫌われているから評価が低い」「ちゃんと見てくれていない上司が悪い」といった不満を抱く従業員が出てしまうこともあります。そうした余計な不安を与えないで済むのがメリットです。

(2)人材にあった配置が行える

適性検査ツールを用いることで、本人が自覚していない能力や適性を見出せることがあります。例えば、本人も周りも事務作業向きと思っていたところ、適性検査では営業が向いていることが判明した...などです。適正がある仕事に従事できれば、力を発揮しやすくなるため従業員本人にとっても働きやすくなるでしょう。会社としても売上や生産性を高められます。

また、スキルチェックをすれば、どういった技術を持っているかがわかるので、スキルが必要な部署に能力のある人材を配置できます。何かあったときに誰に何を指示すればよいかも明確になるので、指示系統のブラッシュアップもできるでしょう。その結果、部署の生産性向上につながります。

(3)ミスマッチ入社の防止になる

中途社員や新卒社員の採用前に適性検査を行うことで、自社にあう人材かどうかを判断できます。

やる気はあっても、自社の文化や制度にそぐわない適性であれば、入社前に不採用にする選択がとれます。入社後に辞職されてしまうリスクが減らせるでしょう。

ミスマッチ入社は、入社した側も採用した側も、どちらにとってもマイナスが大きいものです。せっかく時間をかけて研修をしたのに、配属したとたんに辞めてしまう社員が多いといった事象があるときは、採用決定前のプロセスに課題があると考えられます。課題解決の手段として適性検査を検討してみるのもよいでしょう。

(4)従業員の見えていなかった価値に気づける

仕事の成果は、売上や生産効率などの数値から図ることができます。数字で出せる社員の価値は評価しやすいのに対して、オフィスのムードメーカーやいざというときに頼りになるといった、数値ではわからない能力は評価しづらい部分もあるでしょう。これは、現場レベルの細かなところまで吸い上げるのが難しいという現状があります。

ですが、360度評価やアンケートといったツールを用いれば、そうした現場レベルの声を吸い上げることができます。上司からは見えていなかった部下の新たな一面や価値を見つけられるでしょう。

人材アセスメント導入のポイント

人材アセスメントを取り入れる際に意識しておきたいポイントをまとめました。自社や部署内で検討する際の参考にしてください。

(1)従業員の何を評価したいのか

人材アセスメントを用いて、従業員や求職者の何を評価したいのか明確にしましょう。例えば、配置転換を行いたいのでスキルチェックがしたい・職場環境の改善のためストレスチェックがしたい、などです。「何のために・何を」が明確でないと、ツールを絞り込むことができません。また、評価したい項目とズレた人材アセスメントツールを取り入れてしまうことにもつながります。

(2)目的にあったツールかどうか

人材アセスメントを選ぶ際、欲しい結果が得られるかが重要なポイントです。評価する目的が明確になったら、次は目的にあう結果を出してくれるツールなのかをチェックしましょう。

スキルチェックを行いたい場合、スキルの習熟度を知りたいのか、スキルの種類を知りたいのかで選定基準が異なります。アセスメント研修も、目的を達成できる内容になっているか、研修項目を精査する必要があるでしょう。

また、評価や査定の結果が利用しやすい仕様になっているかもポイントです。結果がずらりと並んだだけではなく、例えばトータルスコアが数値で出る、グラフ化できる、紙ではなくデータで管理できるなど、活用しやすい仕様であり使いたい用途にあわせ成形できるようなツールを選ぶようにしましょう。

(3)評価項目は信頼できるものか、妥当性はあるか

ツールそのものや評価項目の過不足の他にもおさえておきたいのが、項目の信頼度や妥当性です。項目に偏りがあれば、それは公平な人材アセスメントとは言えません。

そのため、人材アセスメントは自社で作成から実施まで行うのではなく、外部のサービスやツールを用いることが多いのです。第三者の視点で項目が設定されることで過不足や偏りのない内容となり、客観性が保てます。

人材アセスメントにおすすめの診断テスト

ALL DIFFERENT株式会社で提供しているビジネススキル診断テストは、従業員の知識・スキルを客観的かつスピーディーに可視化することのできる人材アセスメントツールです。アセスメントを行いたい目的や対象に応じて3種類の中からお選びいただけます。

(1)【全階層向け】 ビジネススキル診断テスト

全階層向けのビジネススキル診断テストです。業種・職種に関わらず、全てのビジネスパーソンに求められるビジネススキル・知識を網羅的にアセスメントすることができます。従業員のビジネススキルが一目でわかるため、適切な課題把握が可能です。一人ひとりの課題を明らかにすることで、研修内容の見直しや適切な目標設定が行えるようになり、組織の成果につながることが期待できるでしょう。
【全階層向け】<ビジネススキル診断テスト>の詳細はこちら

(2)【管理職層向け】マネジメント・リーダーシップ診断テスト

管理職層向けのマネジメント・リーダーシップ診断テストは、マネジメント層(社内をけん引しているリーダー・管理職クラス)のビジネスパーソンに求められるリーダーシップ力・マネジメント力を網羅的にアセスメントするツールです。管理職育成が課題となる一方、部門・課ごとに求められる知識・スキルが暗黙知化されているケースは多く見受けられます。どうすれば会社が求める人材が育つのかといった共通点を見出したいときや、社員のさらなる課題を見つけたい場合などに活用できるツールとなっています。

評価の高い管理職とそうではない管理職の差を可視化することで、組織体制や教育体制を見直すのにも利用いただけます。
【管理職層向け】<マネジメント・リーダーシップ診断テスト>の詳細はこちら

(3)【新入社員・内定者向け】 ビジネススキル診断テスト

新入社員・内定者向けのビジネススキル診断テストは、入社1年目のビジネスパーソンに求められるビジネススキル・知識を網羅的にアセスメントするツールです。「やる気はあるが、何を学べば良いかわからない」といった内定者や新入社員の不安、新入社員の教育体制が画一的になっている、OJTがうまく機能していないといった課題解決に利用していただきたいのが、新入社員・内定者向けの診断テストです。一人ひとりの結果が分かることで、新入社員の傾向や、注力して身につけるべき分野が明らかになります。結果として自ら学ぶきっかけづくりや、研修内容の充実など、スピーディーな人材育成につながるでしょう。
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