新入社員が伸びる職場をつくる4つのポイント
~カギは「リアリティショック」からの脱却にあり~

現場に配属された新入社員がなかなか成長しない。その悩みの裏側には、新入社員が陥りがちな「リアリティショック」が大きく影響しているかもしれません。
今回のコラムでは、リアリティショックの観点から、新入社員が伸びる職場をつくる4つのポイントをお伝えします。

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新入社員が伸びる職場をつくる4つのポイント ~カギは「リアリティショック」からの脱却にあり~|人材育成コラム_3
目次

新入社員の成長を阻害する要因

新入社員の教育といえば、内定期間中のフォローにはじまり、入社時の新人研修、また各部署への配属後はフォローアップ研修やOJTなど、早期戦力化を図るべく様々な取り組みが行われています。しかし、新入社員を受け入れた現場を見てみると、OJTをしっかり行っているにもかかわらず、「なかなか育たない」と悩んでいる教育担当者が多いのが実情です。

その背景には、教わる側・教える側のスキル不足など様々な要因がありますが、中でも大きな要因として挙げられるのが「リアリティショック」です。今回のコラムでは、リアリティショックとは何なのか、リアリティショックと新入社員育成にどんな関係があるのか、リアリティショックを起点に「新入社員が伸びる職場づくり」のポイントを解説します。

リアリティショックとは

人材育成の分野では、就職や転職といった環境変化に伴い「こんなはずじゃなかった...」という理想と現実の心理的ギャップが生じてしまうことをリアリティショックと呼んでいます。入社前に聞いていたレベルをはるかに超える成果を求められて困惑してしまう、逆に、期待していたレベルよりはるかに低い仕事でつまらないというように、「想定を上回る場合」と「期待に至らない場合」の双方で発生するといわれ、新入社員の場合、「説明会や面接ではそんなこと言っていなかった...」だけでなく、同期との仕事内容に差がありすぎる、配属先の先輩とうまくいかないといった理由から、リアリティショックが起こることもあります。

リアリティショックに陥ると、焦りや不安、またモチベーションの低下や組織コミットメントの低下を招き、時に心身の疲労から欠勤や離職につながってしまうこともあります。こうした状況下で新入社員が成長するわけがありません。また組織にも悪影響を及ぼしてしまうことから、いかに新入社員のリアリティショックを低減させる環境をつくるかが、「新入社員が伸びる職場づくり」の土台となるのです。

リアリティショックと新入社員育成の関係性がわかったところで、早速、リアリティショックからの脱却と新入社員の成長を促す取り組みを見ていきます。

新入社員が伸びる職場に欠かせない4つの要素

新入社員が早期に現場に適応してリアリティショックから脱却するには、次の4つの行動を実践する必要があります。

  • (1)人脈政治知識の獲得
  • (2)学習棄却
  • (3)評価基準・役割の獲得
  • (4)スキル・知識の獲得

これら4つは、「組織再社会化」の概念に基づいた行動です。組織再社会化とは、転職や異動により別の組織から移ってきた社員が、以前の組織で求められた知識や役割などを持っている状態から、「新しい組織の知識や役割を受け入れ、メンバーとして順応していく」プロセスのこと。通常、初めて社会に出た新入社員に対しては、"再"のつかない「組織社会化」が使われますが、最近は学生時代のアルバイトなどを通じてすでに組織社会化を経験していることから、新入社員にも「組織再社会化」の概念を用いた行動が求められるようになってきました。

しかし、社会人になりたての新入社員が自分一人で対応できるはずはなく、この4つの行動を新入社員が実践できるよう、上司や教育担当者がその中身を理解し、適切にサポートしてあげることが必須です。当然、現場での取り組みがうまくいくよう、会社・人事側がフォローすることも欠かせません。聞きなれない言葉もあると思いますので、1つ1つわかりやすく解説していきます。

(1)人脈政治知識の獲得

人脈政治知識とは、会社の組織構造や各部門の役割のような明示的な知識だけでなく、事実上誰に力があるのか、誰がキーパーソンなのかといった「暗黙知」を理解することを指します。「こういうときはAさんに話を通しておいた方がいいぞ!」など、役職からはわからない会社内部の知識が該当します。

現場・会社がやるべきこと
配属されたばかりの新入社員が、暗黙知をすぐに理解することは不可能です。そのため、個人の仕事、部門の仕事、部門間の仕事において、相談する相手や了承を得る相手を教えてあげる必要があります。現場では、各業務のキーパーソンを洗い出し、上司や教育担当者から教えてあげましょう。また会社・人事としては、役割分担表を作成したり先輩社員と交流する機会を設けたり、各業務のキーパーソンを知ることができる仕組みをつくることが効果的です。

<ワンポイントアドバイス>
当社が行っているのが、先輩社員にインタビューして回る「スタンプラリー」です。直接話を聞くことで、先輩社員の業務内容や社内での役割のほか、人柄などを知ることができます。また、声掛けの練習にもなり、「あ、この内容は山田先輩が詳しそうだったな。聞きに行ってみよう」というように、新入社員が主体的に動くことにもつながります。

(2)学習棄却(アンラーニング)

今までに身についた仕事の進め方や風土に対する意識を一旦捨て去り、新たな組織にゼロベースで馴染むよう自ら仕向けることを学習棄却(アンラーニング)と呼びます。今の組織に必要のないものを捨て、現在の組織のやり方を把握するということです。

現場・会社がやるべきこと
新入社員の中には、「バイト先ではこの進め方でうまくいっていた」「学生時代は最後まで自分で考え答えを導き出すよう指導された」など、学生時代に身についた考え方が抜けない人も多くいます。そのため、現場の上司や教育担当者から、「まずはこの(今の組織の)進め方で1回やってみよう」と促すことが大切です。

また、言われたやり方で仕事を進めてみてどうだったか、振り返りの機会をつくることも重要なポイント。新入社員が、「ここがよくなかった」などと気づくだけでなく、報連相の習慣化にもつながります。本当に「今の仕事の進め方が非効率で改善の余地がある」場合、上司や教育担当者がそのことを認識し、改善につながるケースもあります。

会社・人事としては、上司や教育担当者に対し振り返りの方法や手順を教えるなど、新入社員の適切な振り返りを促す「振り返りサポート」のスキルを高める取り組みを行うとよいでしょう。当社では、振り返りサポートの方法など、部下育成のポイントを網羅的に学べる管理職向け研修も開催していますので、ぜひご活用ください。

ラーニングエージェンシーの管理職研修:部下を育成するために必要な要素

<ワンポイントアドバイス>
振り返りを行う際は、必ず目標設定とセットで行いましょう。目標がないまま振り返りを行うのは、PDCAサイクルの"P"がない状態と同じです。「月曜日に設定した目標って達成できた?」というように、目標を踏まえた振り返りを行うと、より振り返りの効果が高まります。また、「できなかったこと」だけではなく、「うまくいった/できたこと」と「なぜうまくいった/できたのか?」という部下の成功体験や成功法則の振り返りも必ず行いましょう。「先日、お客さまへ資料を説明した際に、とてもわかりやすいと言ってもらえた」など、小さな成功も探してあげることが重要です。

(3)評価基準・役割の獲得

新しい組織における、仕事の要求レベルや求められる行動、果たすべき役割を理解することです。身近な例を挙げると、文書作成において"完璧なもの"の提出が求められるのか、まずはラフなものでよいので"素早さ"が求められるのか、などの基準を理解し、それに沿って行動するということです。

現場・会社がやるべきこと
まずは、目指す人材像や役割期待を設定します。全社共通の目指す人材像・役割期待、そしてそれを土台に部門ごとの人材像・役割期待を設定し、言語化して共有しましょう。「なぜそれが求められるのか」といったレベルまで共有することも大切なポイントです。

また、現場と会社・人事で認識や評価にズレが発生しないよう、各部門で設定した人材像や役割期待を人事部門と共有することも必須です。

<ワンポイントアドバイス>
人材像や役割期待を設定・言語化する際は、「社会人として信頼感のある言動を」といった抽象的な表現ではなく、関係者の認識が一致する粒度で設定するようにしましょう。例えば、「同期が作成した議事録を、改善点や理由まで含めてレビューすることができる」「新しいサービスの企画書を、雛形がベースではあるが独力で作成することができる」のような内容だと、認識のズレが生じにくくなります。

(4)スキル・知識の獲得

(3)評価基準・役割の獲得 の『現場・会社がやるべきこと』で挙げた期待や役割に対して、必要となるスキルを習得することです。基礎的なビジネススキルから、仕事を進めるうえで必要となる業界・業務知識、専門スキルまで様々なスキル・知識が含まれます。

現場・会社がやるべきこと
現場では必要なスキル・知識の棚卸しを、それをもとに会社・人事側ではスキル・知識の具体的な獲得方法を整備します。OJTだけでなく、社内研修や社外研修といったOff-JTの場をつくる、資格取得支援や通信教育などで自己啓発を促すことをおすすめします。

<ワンポイントアドバイス>
棚卸ししたスキルや知識を明示するだけでなく、例えば「1年後に求める姿」を実現するためにどの程度成長したのかを確認する「業務達成度チェックリスト」などをつくり、どんなサポート・指導が必要なのか、計画を立てながら進めていくことが効果的です。

まとめ

今回のコラムでは、新入社員が伸びる職場づくりに欠かせない4つの要素をご紹介しました。普段使うことのない言葉も多く、「難しい!」と感じた方もいらっしゃると思いますが、実はどれも、今日から取り組めることばかりです。

「新入社員のモチベーションが下がっているな」「チームに馴染めていないな」など、新入社員の様子に少しでも気になることがあったら、本コラムを参考に「新入社員が伸びる職場」になっているかを点検し、4つのポイントを実践してみてください。途中、困ったことが出てきたら、お気軽にご相談ください。

また当社では、先輩社員向けの「新人受け入れ研修」や、部下育成の心構えや育成のポイントを学べる管理職向けのトレーニングも実施しています。ご興味のある方は、ぜひお問い合わせください。

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