AI人材に求めるべきスキルや育成方法

published公開日:2022.03.10
目次
AI技術は、ビックデータ解析や自動運転、顔認証といった技術に使用され、今とても将来性がある分野です。少子高齢化による労働人口の減少を補うためにも、AI技術が求められています。
しかし、日本では、AIスキルを備えた人材は不足しており、企業が新たにAI人材を採用するのは困難になってきています。
本コラムでは、AI人材にできることや必要とされているスキル、AI人材を育てる方法について解説しています。

AI人材とは‍

「IT人材白書2019」では、AI人材を、「AI研究者」「AI開発者」「AI事業企画」の3種類に定義しています。

「AI研究者」はAIにおける数理モデルの研究をし、「AI開発者」は、AIモデルを理解したうえで、AIを装備したシステムやソフトウェアを開発。「AI事業企画」は、AIにもビジネスにも精通した、AIを活用した製品やサービスを、市場に送ることのできる人材が担います。また、AI人材は特に、IT・自動車・医療などの分野で求められているのが現状です。

※参照:「IT人材白書2019」(独立行政法人情報処理推進機構社会基盤センター)

なぜAI人材が求められているのか‍

AI人材が求められる理由の1つが、経産省が発表したDX(デジタルトランスフォーメーション)ガイドラインです。企業へデジタル化を進めるよう国が働きかけています。

ビックデータ解析やCRMを用いたマーケティングなどに、今やAIは欠かせません。その他にも、これまで人力で行ってきたカスタマー対応や生産管理なども、AIを用いて効率化する波が来ています。そうしたデジタル化は今後も一層加速すると考えられ、AI人材が求められているのです。

<AIスキルのある人材が不足している>
DX推進の働きかけもあり、AI人材は引く手あまたの状態。そのため、AIスキルの備わっている人材の採用は非常に困難な状況です。「DX白書2021」によれば、AI技術者を含むエンジニアやプログラマを「不足している」と感じている企業は、47.5%と約半数にも上ります。
AI人材をはじめIT人材が確保できなければDX推進もうまくいかず、ジレンマに陥っている企業もあるのではないでしょうか。

※参照:「DX白書2021 第3部_デジタル時代の人材」(独立行政法人情報処理推進機構社会基盤センター)

<将来性がある分野のため>
AI技術は、デジタル化への対応が求められる現代においてとても有用です。
例えば、ビッグデータをAIを用いて分析することで、小売業などでは顧客の需要を予測できるようになり、商品の供給を過不足なく行えるようになりました。 余剰在庫の解消だけでなく、大量生産によって廃棄される商品の削減にもつながります。
幅広い分野で自社が活躍できる場を増やすためにも、今のうちからAI人材を確保・育成しておくのは急務だと言えます。

<少子高齢化対策>
日本では少子高齢化と人口減少が課題です。2060年には8,674万人と1億人を切るまでに減少すると言われています 。人口減少に伴い、企業では労働力の確保が難しくなります。
そこで、人手不足の解決策としてAI技術が求められています。AIに人の手で行っていた仕事を任せることで、人手が減っても生産性を落とさずに企業活動が行えると考えられているためです。また、生産性の維持だけでなく、生産効率を向上できれば、働く人への負担を軽減しつつも質の高い仕事ができるようになるでしょう。

※参照:人口減少の見通しとその影響(厚生労働省)

AI人材に求められるスキル‍

AI人材に求められるスキルにはどういったものがあるのでしょうか。中でも、プログラミング、データサイエンス、機械学習・ディープラーニング、数学力といった項目について解説します。社内でAI人材を育成する際に、どのスキルを身につけてもらえばよいかの参考にしてください。

プログラミング

AI人材、中でもAI技術者に求められるスキルの代表がプログラミングです。中でも必須とも言える言語がPython(パイソン)。機械学習やデータ解析と言ったツールの開発はもちろん、アプリ開発にも使用できる汎用性の高さから、AI分野でも高いシェアを占めています。

AI構築に向いている言語は他に、R(統計解析向き)やJulia(新しくシンプル)などがあります。これらもAI人材には身につけていて欲しい言語でしょう。

また、社内にITエンジニアがいる場合は、PHPやJavaを扱える人がいると思いますが、これらの言語もAI開発に活用できます。ITエンジニアがいる場合、すでに素地はあるので育成もしやすいのではないでしょうか。

データサイエンス

データサイエンスとは、統計学、情報工学、アルゴリズムなどの手法を横断的に用いて、収集した多様なデータから新たな知見やビジネスに有意義な情報を引き出す研究のこと。近年は、AIによるビックデータ解析も行われていることから、データサイエンティストに対してAIの知識やスキルが求められるようになってきています。

また、実際に引き出された情報をどのように扱うかも考える必要があります。社内での業務効率化なのか、新しいサービスや商品の開発なのか、さらに精度を高めていくのか、など自社にあった活用法を提案できる人材の確保が求められるでしょう。

機械学習・ディープラーニング

機械学習とディープラーニングは、AIの代表的な技術領域です。機械学習は、AIにデータを読ませてパターンや法則を見つけ出すことを言います。膨大なデータからパターンを見つけ出すもの、同じ要素を含むデータを読ませて、同一性を認識させるものなどがあります。

ディープラーニングは、機械学習をコンピューターが自ら行うものとイメージすると良いでしょう。機械学習では、何を指標とするかを人間が決めて学習させていきますが、ディープラーニングはそうした指標を人が指定をせずにコンピューターが自己判断してデータの解析を行います。

数学力

数学力のひとつが論理的思考です。AIの機械学習では、何を指標として学習するのかを決めるのは人間が行うため、論理的な考えのもとその指標を導き出す必要があります。

数学力は、データサイエンティストとしても持っておきたい能力のため、AIを構築する開発者ではなくAI研究者に必要なスキルと言えるでしょう。

また、近年は数理に関する知識の習得に重点が置かれています。内閣府が、小学校から社会人リカレントに至るまで、数学教育のカリキュラム変更を進めていることからも、数学力はAI人材にとって不可欠な能力と言えるかもしれません。

AI人材を育てるためにできることとは‍

AI人材を育てるために、どのような取り組みを行えばよいのでしょうか。ここでは、AI人材を育てるための方法について、解説します。

社内教育でAIスキルを向上させる取り組みを実施する‍

社内にAIスキルを持つ人がいる場合、教育係として研修やOJTを実施してもらうのが有効な手段です。育成したい人物のメンターとしてついてもらうのも良いでしょう。上手くいけば社内で新たにAI人材を誕生させられます。

しかし、研修やOJTの実施はその場ですぐ行えるものではありません。実施前の準備も必要です。また、メンターとなった場合は、メンティへの指導ややり取りに時間が取られるため、本来の業務に支障がでる恐れがあります。また、研修も慣れていなければ体系的に内容をまとめるのも難しく、実施できたとしても思ったような効果が得られない可能性もあるでしょう。

社内のリソースを使うため、低コストで人材育成が行えるのがメリットですが、思った効果が得られない・業務を圧迫する可能性があるのがデメリットです。社内教育の実施前に、メリット・デメリットを出してから判断すると良いでしょう。

無料コンテンツを活用して社内で人材を育てる‍

AI人材を育てるために、社員に無料コンテンツを活用した学習を働きかける方法があります。金銭的負担がないので始めやすいのがメリットです。一人ではあまり積極的に動いてくれないときは、チーム単位で勉強するようにしても良いでしょう。

費用がかからないメリットがある反面、体系立てられていない・情報に誤りや不足がある、情報が古いといったコンテンツもあります。そうしたコンテンツを参考にしてしまうと、知識の習得に時間がかかる・知識が偏るといったデメリットが生じてしまうでしょう。事前に無料コンテンツの内容を確認したうえで取り組んでもらうのが望ましいと言えます。

外部のAI研修を取り入れる‍

社外の研修に従業員を参加させる、または社内に外部講師を派遣して研修を実施する方法などがあります。社内にいるAIに詳しい人材が教育係になる必要がないため、業務への影響を抑えられます。また、社内にAIに詳しい人がいなくても育成が行える点もメリットです。

また、研修を行うプロが対応してくれるので、体系立てて教えてくれるのはもちろん、社員からの質問などにも研修の場で対応してくれるでしょう。既に大手企業をはじめ、多くの企業がDX推進、AI人材の育成に取りかかっています。将来的に自社が遅れを取ることがないようにするために、外部のプロの活用も検討してみてはいかがでしょうか。

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