VUCA(ブーカ)とは?OODAループが求められる理由

update更新日:2023.02.24 published公開日:2022.01.20
目次
新型コロナウイルスのまん延による世界的な混乱、人口減少による慢性的な人手不足、AI技術の急速な発展など、今の世の中は将来を予測するのが困難な時代(VUCA/ブーカ)といわれています。そんなVUCA時代においては、従来のトップダウン型マネジメントやPDCAサイクルでは変化のスピードに追い付けず、もし競合がVUCAに適した改革を行っていた場合には、市場競争に負けてしまうことも大いに考えられます。

本コラムでは、VUCA時代を生き残るためのOODAループや変革型リーダーシップについて解説します。

VUCA(ブーカ)とは

VUCA(ブーカ)とは、下記の頭文字をとった造語で、主に「将来を予測するのが困難な時代」という意味で使われます。

  • V=Volatility(変動性)
  • U=Uncertainty(不確実性)
  • C=Complexity(複雑性)
  • A=Ambiguity(曖昧性)
  • もとは1990年代の冷戦終結後に生まれた言葉で、複雑化した国際情勢を表す軍事用語として使われ、2016年ダボス会議では現在の世界経済情勢を形容し、「VUCAワールド」と表現されました。

    ビジネスにおいてVUCA時代という表現は「予測不能な混迷を極めた時代であること」を示す時に使われます。

    VUCAが注目されている背景

    VUCAが注目されているのは、まさしく現代が予測不能で混迷を極めているからと言っていいでしょう。

    世界的に見れば、新たな感染症のまん延や戦争・紛争の勃発、為替危機など、いつまで続くのかも結末も見えない状況が続いています。また、地球環境に目を向ければ、地球温暖化や海洋プラスチックなどの問題も解決のきざしが見えず、近年ではそうした背景から持続可能な成長(SDGs)の考え方が一気に世界中の企業に広がりました。

    ビジネスの観点で見れば、ダイバーシティやグローバル化における人間関係の複雑化、IT技術の急速な進歩など、追い付いたと思ったら離されるような状況が続いています。時代の過渡期だと感じる人が多いため、VUCAが注目を集めているのです。

    VUCA時代に必要な3つのスキル

    ここからは、VUCA時代に身につけておきたいスキルを3つに分けて紹介します。

    思考スキルを身につけることが必要

    現代の私たちは「これまでの経験をもとに解決策を検討したり事前に対策を打ったりするのが困難な問題」に数多く直面しています。

    例えば、以下のようなことは、30年ほど前にはほとんど存在しておらず、「これまでの経験」が活かしにくいものです。

  • AI・IOTの発達による無人店舗やキャッシュレス決済
  • SNSの普及による生活様式の変化
  • COVID-19の感染拡大とそれに伴う制限 から一般化した対面営業制限や感染予防マナー対応
  • 日本国内の少子高齢化に伴う社会構造の変化
  • 環境破壊が進むことによる気候変動…など
  • 前例の無い事象において、解決策や対応策を見出すにはベーシックな思考スキルが必要です。直面した状況や事実を捉え、必要な対応やアイデアをゼロベースで出し、素早く判断して実行する。そういったことができなければ、VUCA時代において企業が発展できる可能性は低くなってしまいます。

    ビジネスパーソンの一人ひとりが、クリティカルシンキングやロジカルシンキングといった思考術を身につけておく必要があるのです。

    逆ピラミッド型のマネジメントが必要

    VUCA時代においては企業を取り巻く事業環境が大きく変化。将来予測が困難になった結果、企業経営とマネジメントのありかたも大きく変更せざるを得なくなっています。

    これまでは国内市場(マーケット)は継続的に拡大し続けていました。物を作れば売れる時代であったため、いかに早く沢山作るか、効率と合理性を重視し、多くの企業では左図のように、経営層が社員に指示をするトップダウン型のマネジメントがうまく機能していました。

    しかし、VUCA時代の今、この図式は一変しています。顧客が多様化し、嗜好や要望の変化スピードも加速。商品やサービスのライフサイクルも短期化するようになりました。

    そのため、現在では上図のように市場やお客様の近くにいる現場の社員から意見を上げてもらうボトムアップ型にシフトしてきています。どういったプロダクトが望まれているのかを吸い上げ、管理職に情報提供と提案を行い、受け取った管理職は現場判断で意思決定を連続して行う形です。ボトムアップ式により、スピード感ある対応ができるようになります。

    変革型リーダーシップが必要

    先が見えないVUCA時代に生き残りを図る経営者は、従来のピラミッド型の組織図とマネジメントスタイルでは自社を存続・発展し続けることが難しく、ボトムアップで動く逆ピラミッド型のマネジメントスタイルをとる必要があると考えています。

    その実現のために、特に管理職に変革型リーダーシップを期待する経営者が増加しているといわれています。前例踏襲ではなく、自らの言葉でビジョン=将来像を描き、ゼロベースで何をすべきかメンバーと一緒に考え、メンバーをリードしてほしいと期待しているのです。

    リーダーシップの権威 ジョン・コッターは、「リーダーシップは組織が変革すべき時にこそ、必要である」と述べています。また、変革を実現するリーダーは「目指すべきビジョンや目標を設定し、それを達成するために、役割分担や仕組みを創ること」としています。

    VUCA時代に企業が存続・発展し続けるためには、管理職の強化とメンバーの強化が必要であるといえます。また、現場でスピーディーにサイクルを回すマネジメントスタイルであるOODAループを管理職が身につけることも求められるでしょう。

    では、OODAループとは何かを以下より解説いたします。

    VUCA時代に必要なマネジメントスタイル「OODAループ」

    経営者が特に管理職に身にけて欲しいと考えているOODAループの基礎を解説します。

    OODAループとは?成功の秘訣と注意点

    現場で判断しスピーディーに行動するマネジメントスタイルをOODAループ(ウーダループ)といいます。

  • O=Observe(観察)
  • O=Orient(状況判断、方向づけ)
  • D=Decide(意思決定)
  • A=Act(行動)
  • OODAループは、状況に合わせてスピーディーにサイクルを回すため、PDCAと比較すると行動を起こすまでの所要時間(期間)が短いのが特徴です。状況変化のスピードが早く、未来予測が困難なことから、適応力が重視されるVUCA時代に必要なマネジメントスタイルといえるでしょう。

    しかし、OODAループはただ導入すればよいものではありません。やみくもに現場で判断し、実行をすることでは変化には対応するものの、行き当たりばったりのマネジメントになってしまうリスクがあります。

    OODAスタイルのマネジメントを成功させるには明確な方向性をリーダーが打ち出すことです。一方で、現場のメンバーに明確に範囲を決めて権限移譲・エンパワーメントを行いましょう。そして、何より現場メンバーのオーナーシップとプロフェッショナリティの向上がOODAループ導入を成功させる秘訣です。

    VUCA時代の企業に必要なこと

    企業は存続・発展し続けなければならない

    中小企業庁によると、日本には約359万もの企業が存在しています。さらに、毎年約10万社以上が新規法人登記されているので、10年後にはさらに100万社増えるかというと、そうはなりません。10年前と比べると、企業数はむしろ減少しているのです。

    国内企業数の推移は、こちらをご参照ください。

    新規法人登記が毎年10万社も行われているのに企業数が減ってしまう理由は、「倒産と廃業」です。企業は起ち上げられた瞬間から、いかにして倒産せずに発展し続けるのかという課題を抱えています。

    企業が存続・発展し続けるためには環境変化への適応が不可欠

    企業が存続・発展し続けるためには「環境変化に適応する」必要があります。VUCA時代においては、これまでの経験・常識が通用しません。そんな状況の中では、物事の本質を捉え、素早く適応し続けていくしか道は拓けないでしょう。

    ボトムアップ型のマネジメント・OODAループといったスピード感のある対応が求められます。また、同時にそれらを実践できるよう従業員一人ひとりのスキルアップも必要になってくるでしょう。

    VUCA時代の人材育成とは

    「VUCA時代にどのようにしてOODAループを機能させたらよいか知りたい」「変革型リーダーシップについて実践させたい」という方がいらっしゃいましたら、ぜひ、以下のボタンよりお問い合わせください。当社の担当コンサルより、具体的な事例を紹介させていただきます。

    また、全国の企業経営者100人に聞いた、『変化の時代、幹部に求められる"力"とは?』のアンケート結果はこちらをご覧ください。
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