ソリューション営業とは | 最も重要なのはお客様の課題解決

published公開日:2022.02.01
目次
インターネットの普及に伴い、見込客が収集できる情報の量と質が以前と比べて飛躍的にアップしました。
以前のように自社商品/サービスの特長や他社との違いを説明するだけではなく、お客様と関係性を構築し、課題を聞き出し、その課題を解決するために自社の商品/サービスがお役に立てるかもしれません、という提案をしなければ営業成果を創出できなくなったのです。

本コラムでは、ソリューション営業のポイントについて解説します。

ソリューション営業とは

あなたは商談の場で、営業担当者からサービスを一方的に売り込まれて嫌な思いをした経験はありませんか。

新型コロナウイルスの影響により訪問ができなくなったために、このような一方的な営業はそもそも商談機会を得ることさえ難しくなりました。また遠く離れた拠点の会社がTV会議システムを使った営業を行い新たな競合となることもあります。

つまり以前よりも営業活動が難しくなったために自社の営業担当者に「ソリューション営業」を身に付けさせたいという経営者が増えています。

ではソリューション営業とは何でしょうか?ソリューション営業とはお客様とのコミュニケーションを通じて、目指したい姿、現状と課題を聞き出し、課題解消の策を提案する営業のスタイルです。

過去、ソリューション営業というと無形商材の販売時に求められる機能と言われていましたが、商品・製品自体の機能の差別化が難しくコモディティ化が進んでいる今、また新型コロナウイルスの影響で対面営業がしづらくなっている今では、物=プロダクト営業においても必須の考え方となりつつあります。

インターネットの普及がソリューション営業の必要性を増した

つい20年ほど前までは、ビジネスの場でインターネットは使われていませんでした。何か欲しい商品がある場合には、購買ご担当者はタウンページで企業を調べて電話をかけ、「商品について説明してほしい」と営業担当者に依頼をしていたのです。しかし、インターネットの普及により、知りたいことが出てきたらまずはインターネットで検索をすることが当たり前になりました。

つまり、購買ご担当者は自社が欲しい商品やサービスを提供している企業を自ら調べ、Webサイトを見に行き、商品スペックや料金、提供している企業の信頼性などを天秤にかけた上で、話を聞きたい企業を数社まで絞り込み、問合せフォームから連絡を入れる、という購買行動に変わってきたのです。

この購買行動の変化は何を意味するのかお判りでしょうか?
インターネットで事前に検索をするのが当たり前になった現代では、購買ご担当者は商品やサービスに関する知識や適性価格、競合サービスとの違いなどを営業担当者の話を聞く前にすでに認識している、ということです。

このことを理解せずに、商談時にネットにある情報と同一の自社商品/サービスの特長を矢継ぎ早に説明し続けて、「どうです、いかがですか?」と売りつける営業スタイルを続けていても、今後は営業成果を伸ばせないでしょう。

お客様が望んでいるのは「うちの会社にピッタリだ」と思える提案

事前にインターネットで情報収集を済ませているお客様が望んでいるのは「このサービスこそがうちの会社に必要だ!」と思えるような提案をしてもらうことです。

すなわち、営業担当者に求められることは、サービスの特長をまくしたてることではなく、「貴社の課題は何ですか?」「なるほど。その課題ならば弊社のサービスで解決のお手伝いができるかもしれません。この機能で課題は解決できませんか?」と押し売りだと感じさせないように自社サービスの必要性を伝え、最終的にお客様(購買ご担当者)自身に「自社の課題解決のために、このサービスが必要だ!」と感じさせること、すなわちソリューション=解決策の提案をすることなのです。

ソリューション営業を行うためにはお客様との関係づくりが必要

ソリューションとは英語で書くとSolution、すなわち解決という意味です。ソリューション営業を行うためには、相手が抱えている課題や問題点を解決できるような提案をしなければなりません。

しかしながら、商談の席で、初めて出会って開口一番、商品/サービスの価格や機能をまくしたてる営業担当者に、お客様が本音を言ってくれることはまずないでしょう。よってソリューション営業を行うために重要なのは「お客様との関係づくり」なのです。

そもそも、お客様が自分たちの悩みを吐露する相手は、どのような人でしょうか。 もちろん実績が豊富で専門性が高い人、というのも重要ですが、それに加えて「この人ならば、自分たちと一緒に歩んでくれそうだ」という信頼がなければ難しいでしょう。

よって、ソリューション営業をするためには、回り道に見えますが、まずはお客様との関係性構築が重要になるのです。

お客様との関係性の構築方法は様々です。先ほど触れた通り専門性・実績を訴求しなければならない場合もあれば、まずは人となりを知ること、伝えることからスタートする場合もあります。お客様との関係性構築のためにはどうすれば良い、というセオリーはなく相手によっても異なるため、色々なパターンを使い分けできることが必要です。

競合に勝つにはお客様が気づいていない問題・課題に言及すること

悩みや、会社の問題点、本音を言ってくるような関係性をお客様と築けたあとは、お聞きした問題の解決策を考えるだけでなく、まだ相手が気づいていない問題・課題も見つけ、その解決策を含めて示してあげられるとなお良いでしょう。

このことはお客様に「自分たちのことをここまで考えてくれているのはすごい」という驚きをもたらし、さらに「さすがプロだ!」と実績・専門性のアピールをすることにもつながります。お客様が気づけていなかった問題点とその解決策まで提案をすることができれば、競合他社と土俵を変えて戦うことができるようになります。

ソリューション営業の4つのステップとは

ここまでの話を踏まえ、改めてソリューション営業の4つのステップを整理しておきましょう。

  • 1st Step:お客様との関係づくり
  • 2nd Step:お客様の課題を発見する
  • 3rd Step:お客様に課題を認識していただく
  • 4th Step:お客様の課題の解決策を提案する

ソリューション営業は1つずつ階段を着実に上っていく必要があります。1st STEPの「お客様との関係づくり」ができない営業担当者は決して次のステップに上がることはできない、すなわち営業成果を獲得することはできないでしょう。

営業担当者は商品/サービスの説明の練習をするだけでなく、いかにしてお客様と人間関係を構築していくべきなのかを常に考えるべきです。時にはトーク番組に出てくるタレントの質問術や切り返し方などテレビを真剣に見て研究するのも良いでしょう。雑誌などで経営者インタビューの記事を見て、どのような質問を投げかけているかを研究することも良いでしょう。 営業活動においてお客様との人間関係を構築するためには、「このお客様に自社の商品/サービスを売り込もう」という姿勢ではなく、「自分がこのお客様の立場だったら、日々どのような点に関して悩んでいるだろうか?」、「自社の商品/サービスはそのお悩みの解決に役立つだろうか?」、「どうしたらこの企業様の業績を上げるお手伝いができるだろうか?」という姿勢で商談に臨むべきなのです。

お客様は「この営業担当者はうちの業界に精通している」、「自分の立場を理解してくれている」と感じて初めて、相手に心を許して本音を話し始めてくれるものです。
お客様との人間関係づくりのためには、インターネットで先方業界に関する最新ニュースを検索して情報提供をする準備をしたり、競合他社で同様の商品/サービスを導入して成功している事例をお伝えできるように準備をしたりするなど、お客様からの信頼を勝ち取れるよう、商談前にしっかりと準備することが大切と言えます。

相手=キーマンを間違えないようにしよう

ソリューション営業を行ううえで気を付けていただきたいことは、「相手=キーマンを間違えないようにする」という点です。キーマンとは意思決定者、あるいは意思決定者に大きな影響を与える人です。営業活動全般に言えることですが、相手=キーマンの見極めは非常に重要です。

キーマンを見誤ると、提案前に聞き出していた問題認識や、目指す状態が誤っており、提案そのものが全く受け入れられない、それまでの努力が水の泡になってしまいます。つまり、だれがキーマンなのか?を見極め、関係性を構築することはソリューション営業においては特に重要だと言えます。

例えば営業会社に対して商談管理システムの提案をする場面をイメージしてみてください。

先方社長の課題
支店や部署ごとの営業進捗の状況を把握したり比較したりできるようになりたい。

課長の課題
商談に同行できない案件に関して、部下が見込み客にどの資料を使ってどのような提案をしているのかを知りたい。

営業担当者Aさんの課題
過去に提案した企業で再度連絡を取るべき相手に抜け漏れなくタイムリーにメールを送れるよう、リマインドしてほしい。

など、同じ「受注見込み企業」の方であっても、話をお聞きする相手の立場や役割が違うと、抱えている課題が全くと言って良いほど違うため、こちらが提案する際に訴求する機能やポイントも変わってくるのです。

ソリューション営業を行う際は、キーマンは誰か、ということを初期段階でしっかりと見定めたうえで営業活動をスタートするようにしましょう。

インターネットが普及し、以前では想像もつかなかったほど手軽に情報収集ができる時代となりました。また、商品/サービス提供企業の営業担当者と会う前に、すでに基礎情報を収集し、競合との比較検討を終えた上で接触を図ってくるお客様が多くなってきました。

自分たちが提供する商品/サービスの良い点や知識を相手に押し付けるだけなのが説明パーソン、相手の課題をお聞きして、「それでしたらこのサービスが解決のお役に立てるかもしれません」と提案するのが営業パーソンです。

ソリューション営業を身に付け、営業成果を創出するためにも、まずはお客様との関係性を構築できるように練習をしましょう。

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