問題解決を行うための考え方と3つのプロセスとは

published公開日:2022.01.18
目次
仕事の多くは誰かの抱えている問題を解決することである、と言われるほど、ビジネスパーソンにとって問題解決をする力は重要です。

本コラムでは問題解決を行うための考え方と、「問題発見・特定」「原因特定」「解決策立案」という問題解決の3つのプロセスについてご紹介します。

仕事の多くは「問題を解決する」こと

あなたは今、仕事をする上でどのような問題を抱えていますか。
仕事の多くは誰かの抱えている問題を解決することである、と言われているほどビジネスパーソンにとって、問題解決をする力は重要だと言えます。

では、「問題」とはいったい何でしょう。
例えば年間の利益が50億円の会社があるとします。この会社の利益額は問題でしょうか。 問題とは、「あるべき姿」と「現状」のギャップです。もしこの会社の利益目標が年間100億円なのに、実績が50億円しかない場合は、大きな問題と言えます。

しかし、この会社は利益が50億円です、という情報だけでは、それが良い状態なのか悪い状態なのか、判断がつきません。ビジネスを行う上ではまず、この状況は問題と言えるのかどうか、を判断するところから始めなければなりません。

問題には見えているものと見えていないものがある

この状況は問題と言えるのかどうかを見極めるのは、実は非常に難しい作業です。というのも、「問題」には見えている問題と見えていない問題の2種類があるからです。

見えている問題とは例えば、「自社の年間売上の30%を占めていた取引先が倒産してしまったため、来期売上はこのままでいくと30%減となってしまう」「発注ミスによりパソコンを1台だけ発注したつもりが10台も届くことになってしまい、保管場所がない」など、誰がどうみても「それは問題ですね」と分かるようなものです。

一方で先ほどの企業の年間利益のように、そもそも目指している状態が分かっていなければ、問題は見つけられません。問題とはあるべき姿(目標や理想としている状態)と現状のギャップだからです。

このように、人によってあるべき姿が異なるということは日常でよく発生します。 あるいは同じ人であっても時間軸(1年以内のあるべき姿を想定するか3年後のあるべき姿を想定するかなど)によって、あるべき姿というのは異なってくるものです。

ビジネスは問題解決の連続ですが、このように「問題自体の設定」がそもそも難しいという点がやっかいだと言えます。

なお、問題・課題の違いについてよく質問をいただきますが、問題とはあるべき姿と現状のギャップであり、それに対して課題とは、ギャップを解消するために取り組むべきこと、とご理解ください。

解決策とは、その課題をさらに細かく具体的な取り組みとして整理した内容です。

問題解決のプロセスは大きく3つ

では改めて問題の特定と解決をするために、どのようなプロセスがあるのかを説明します。 プロセスは大きく3つです。

  • 1.問題を発見・特定すること
  • 2.原因を特定すること
  • 3.解決策を立案すること

問題を解決するためには、問題を特定したうえで、「なぜその問題が起こったのか」という原因を正しく把握する=現状把握をする必要があります。あるべき姿と現実に大きなギャップを見つけ、プロセスに沿って問題解決をしましょう。

では、それぞれのプロセスをもう少し細かく分解してみましょう。

1.問題を発見・特定すること
先ほどからお伝えしている、あるべき姿と現実にはどのようなギャップがあるのか、を把握することです。

2.原因を特定すること
なぜその問題は生まれたのか、を具体的に分析することです。

3.解決策を立案すること
あるべき姿と現状のギャップを埋めるためには具体的にどのような取り組みをしたら良いのか、を考えることです。

慣れないうちはこれらの3つのプロセスを進めることはなかなか難しいかもしれません。
しかし、何度も繰り返し実践することで進め方が分かるようになってきます。またその実践においてはロジックツリーを用いると良いでしょう。

ロジックツリーを使った問題解決の考え方とは

問題解決の3つのプロセス毎にロジックツリーを作ります。3つのロジックツリーとは以下の3つです。

  • 1.問題の発見・特定では「情報構造整理・要素分解」
  • 2.原因を特定では「Why なぜ?」
  • 3.解決策の立案では「So How? どのように?」

3つのプロセスを先ほどの年間利益が目標よりも50億円も下回ってしまっている企業の例で考えてみましょう。

1.問題を発見・特定すること
パッと目につく問題は年間利益が50億円も目標より低いという点ですが、問題を発見する際は、より具体的な内容に目を向ける必要があります。例えば、販売地域や商品、営業部毎の違いや、広告宣伝費など、年間利益マイナス50億円の内訳を分解することです。
この分解・具体化をしないと、問題そのものを見誤る、あるいは曖昧・抽象的な解決策しか検討できず問題解決そのものが進まないという状況に陥ります。

2.原因を特定すること
問題が具体的に特定できた後に、その要因=理由を考えます。この際にもロジックツリーを使って整理すると、頭の整理がしやすいでしょう。また要因=理由は、1つではなく3つ程度考えるようにすると、問題発生原因を抜け漏れなく特定することにつながります。なお、ロジックツリーで整理することに慣れていない人は、先に思いつく限りの要因=理由を洗い出してからロジックツリーに整理しなおすほうが、やりやすいでしょう。

3.解決策を立案すること
3回程度のなぜ?を繰り返すことで、問題が発生している原因が見えてきたと思います。
この原因に対して、何をするか?を整理します。ここでも「具体化」が重要なポイントになります。具体的な行動になっていないと人は行動できません。問題解決は「解決」することが本質です。そのため、できる限り具体的な行動に落とし込んでおく必要があります。

上記3つのプロセスを一気にこなすことは、問題解決の熟練者であってもかなり難しいものです。
また、問題解決は100点満点の正解が存在するわけでもありません。最初の内は「正しいのだろうか?」を気にせず、「この問題をもう少し具体的に言うと何だろうか」「なぜ利益が出ていないのだろうか?」と口に出して言いながら書き出すことを繰りかえすと良いでしょう。

3つのプロセスを例を挙げて説明してきました。最後に改めて注意点を3つお伝えしようと思います。

問題解決のためには「Why なぜ」よりも「What 何を」のほうが重要

問題解決をするためには、「Why なぜ」を深ぼりすることが重要と思われがちですが、実は「What 何を」を考えることのほうが重要と言えます。

例えば、「問題」は残業が多いことと設定します。しかし、残業は全社員に共通して多いのか、一部の階層や所属のみに多いのか、あるいは季節によって多いのか、など少し砕いて状況を分析するとどうでしょうか。

問題解決を行う際には、まずは大きな視点で現状把握をすることを心がけ、大きなWhat(問題)を見つけたら、すぐにWhyに移らず、そのWhatをさらに分解していくことで、問題解決につながります。問題が起きている状況を細分化してみることで、検討する対策なども変わってくるからです。

問題を具体的に特定した後に「Why なぜ」を自責で考える

問題を細分化して具体的に特定した後に行うのは、「Why なぜ」の分析です。 正しい解決策を検討するためには、Whyの洗い出しは、色々な人の知恵を借りて幅広く探ることをお薦めします。

複数人でこの「なぜ」を分析する際は、マインドマップツールを使ったり、ポストイットを1人5枚ずつ配って考えたりするなど、問題が発生した理由を広く・深く探るためにあらゆる工夫をすると良いでしょう。

またWhy なぜの洗い出しでは、「XXX社がやってくれない」など他責の理由が挙がることが良くあります。このように自分、あるいは自社で解決できない理由を挙げてしまうと、解決策も他責になり、その結果、問題解決がされません。そのため、「XXX社への働きかけが不足している」など、理由は自責で検討することが必要となることを忘れないでください。

解決策・行動プランは、だれが・いつ・何をするかが分かるようにする

問題が発生してしまっている本質的な理由が見えたら、その理由に対して実行するべきことが課題です。そしてその課題=取り組みを、具体的な解決策・行動プランに落としなおし実行することが、問題解決を行う、ということなのです。

問題解決は机上で検討しているだけで施策を実行しなければ、何の意味もありません。そのため、解決策は「自分たちでできる行動、イメージできる行動」にすることを忘れないでください。

机上で終わらせないためにも、具体的な行動プランまで落とし込む、そして実際に行動プラン通りに行動を起こせたかを後で確認するところまで、しっかりと行うようにしましょう。

いかがでしょうか。
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