なぜビジネスの場でマルチタスク能力が必要なのか

労働人口が減少傾向にあり、事業環境の変化が速い現代のビジネスシーンでは、一人がたった一つの仕事をこなせばよいわけではなく、複数の業務を同時並行して処理することが求められます。
しかし、マルチタスクをうまくこなすことができず、苦労されている方は多いのではないでしょうか。

本コラムでは、マルチタスクを行う際の優先順位の決め方やToDoリストの活用方法について、事例を基にご紹介します。

人材育成・社員研修などに関するご相談はこちらから

なぜビジネスの場でマルチタスクの力が必要なのか|人材育成コラム_3
目次

聖徳太子は日本でもっとも有名なマルチタスク能力者

日本でもっとも有名なマルチタスク能力者は、聖徳太子ではないでしょうか?10人の相談者から話を同時に聞き、そのすべてに的確にアドバイスをしたと言われています。

マルチタスクのマルチとは、複数のという意味です。つまりマルチタスクとは複数の仕事を同時並行して処理する仕事の進め方です。 一方シングルタスクとは、一つの仕事を完了させたら次の仕事に取り掛かる直列型の仕事の進め方です。

聖徳太子は10人の話を同時に聞いてアドバイスをしていたということですから、マルチタスク能力が非常に高く、もし現代に生きていたらビジネスの場で大いに活躍していたことでしょう。

マルチタスクが上手になれば業務効率がアップする

マルチタスクという言葉はあまり聞きなれず、少し難しく感じるのではないでしょうか。
そこで、経理ご担当者が毎月の上旬に取引先100社にご請求書を郵送するという業務を例にご説明しましょう。

取引先に請求書を郵送するという業務は簡単そうに見えて実は多くの「タスク」をこなす必要があります。

  • 業務担当者に昨月の納品実績の確認をする
  • その納品物と請求額は見積書の内容と相違ないかの確認をする
  • 顧客マスターから取引先一覧を開き、当該企業向けの請求データを入力する
  • 請求書をプリントアウトする
  • 宛先企業のタックシールと切手を封筒に貼り請求書を封入封緘する
  • ポストに投函する
  • たったの1社分の請求書を郵送するだけでも、これだけのタスクがあるのです。

    毎月100社分の請求書郵送業務を遅延なく行うためには、1社ごとに請求書を作成しては郵送する、というシングルタスクではなく、100社分を同時並行して行うというマルチタスクで業務を進める能力が必要となります。

    上記の業務フローの場合は、

  • 当月末締めで請求予定案件の業務担当者に、25日時点で納品確認メールを送っておく
  • 納品確認が取れた分の請求書から順に作成し始める
  • 100社分のプリントアウトを行っている間に封筒に切手を貼っておく
  • 宛先企業のタックシールを封筒に貼ると同時に請求書を封入する
  • 封筒を机の上に並べて一気に糊を付け封緘する
  • というようにマルチタスクで行うことで、業務効率を劇的に高めることができるのです。

    ちなみに「マルチタスク(Multitask)」は日本電気株式会社(NEC)の登録商標なので、電気通信や放送関連で使う際には注意が必要です。

    マルチタスクができないと抜け漏れが生じて周りに迷惑をかけてしまう

    マルチタスクには、同時に仕事を処理するだけでなく、複数の仕事を抜け漏れなく行う、という意味もあります。

    お客様から「昨日中にお送りいただけるはずの見積書がまだ届いてないですよ!」と電話で言われて初めてタスクの抜け漏れに気がつき、ヒヤリとした経験はありませんか?

    普段から信頼関係を築けている既存顧客でならば大きな問題にならないかもしれませんが、もし、初めての取引先だった場合、どうなるでしょうか?
    最悪の場合は、タスクが抜け漏れたことで信頼を損ねて取引自体が無くなってしまうかもしれません。

    タスクの抜け漏れはなぜ発生するのか?

    実は脳の構造上はマルチタスクは向いていないのだそうです。なので、マルチタスクを抜け漏れなくこなすことは相当難しいことです。

    加えて、やることが多いと、人間はパニックになります。同時進行で7つのタスクをこなさなければならないと覚えきれずに、「忙しい」となってしまうのだそうです。

    このような脳の構造も踏まえて、タスクが漏れてしまう理由をもう一度お伝えしていきます。

    理由は2つです。

    「ToDoリスト」を作っていない
    例えば1日の業務開始時に、「本日やらなければならないこと=ToDo」をしっかりと確認しておかなければ、脳がオーバーフローを起こし、抜け漏れが多く発生してしまうでしょう。

    「優先順位」を考えずにタスクに取り組んでしまっている
    ToDoリストはやるべきことのリストであり、やる順番のリストではありません。優先順位を考えず、先に発生したタスクから順に処理してしまっていると、必ず納期遅れが発生して周りに迷惑をかけてしまいます。

    マルチタスクを行う際の優先順位の決め方とは

    優先順位を考えようと言われても、経験がないと難しいはずです。そんなときはそのタスクが緊急性(締め切りまでの期限)と重要性でそれぞれ5点満点中何点かを考えて掛け算を行い、優先順位ポイントを計算してみてください。

    例えば「新規取引のお客様に本日中に見積書を提出する」というタスクは、緊急性5点、重要性5点とします。よってこのタスクの優先順位ポイントは5×5で25ポイントです。

    上司から指摘された、自分の机周りをキレイに片付けるというタスクは、緊急性1点、重要性2点とします。よって優先順位ポイントは2点となります。

    ToDoリストの横に、この優先順位ポイントを書き込める欄を作っておきましょう。毎朝自分が抱えているタスクリストを書き出したら、その中で最もポイントが大きいものが優先順位1,次が2ということになります。

    もし同じポイントのタスクが複数ある場合には、緊急性の高いものからこなしていけば良いでしょう。

    重要性とはタスクの影響範囲の大きさ

    タスクの優先順位を考える際の重要性を評価する一つが「タスクの影響範囲」です。そのタスクがどれだけ周りの人や部門に影響を与えうるか、ということを考えるようにしましょう。特にまだ業務になれていない間は、自分一人で完結できる仕事はあまり多くないはずです。

    怖い上司から「この仕事もやっておいて」と言われたことは優先順位が高いと考えてしまいがちですが、多くの場合、そうではありません。仕事をする上では、当然ながら上司よりもお客様を優先するべきです。また、その業務を行うことで発生するお金の大きさについてもしっかりと想定したうえで業務に着手してみるようにしましょう。

    もし業務に着手してみたはいいが、自分一人では完結できなさそうだと感じた場合は、できるだけ早めに周りの人にアラートを鳴らすようにしましょう。

    いかがでしょうか? 仕事は、自分一人だけでやるものではなく、常に周りの仲間やお客様と連携しながら行うものです。また、納期遅れや抜け漏れを発生させてしまうと、大変な迷惑や損害を発生させてしまうことになります。

    もし「なんで単純なタスクしか持っていないのに納期遅れが発生するんだ?」と叱責したくなる若手社員がいたら、その人のToDoリストや優先順位付けの方法についてやさしく確認をしてみてあげてください。きっと、抱えている多くのタスクを、優先順位もつけず、行き当たりばったりでこなしているだけのはずです。

    研修担当の方や部下をお持ちの方は、社員や部下の方に対してマルチタスク能力を向上させるための支援や環境づくりをしてあげてください。

    マルチタスクの考え方や具体的な能力アップ手法についてお知りになりたい方には、こちらの研修がおすすめです。

    ラーニングエージェンシーの「マルチタスクの進め方」研修

    サービス一覧

    人材育成メールマガジン

    人材育成に関するノウハウやお役立ち情報、研修情報をお届けいたします。