経営戦略とは何か? ~企業が存続・発展し続けるために~

企業が存続・発展し続けるためには取捨選択、つまり経営戦略が必要不可欠です。自社経営の目的・目標を明確に設定し、目的・目標達成のために経営資源の分配を計画立案することが経営戦略です。本コラムでは、経営戦略の考え方や手順について、Apple社の事例などを用いて解説します。

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目次

企業は存続・発展し続けることが必要

日本国内にはどれだけの企業数があるかご存知でしょうか?
中小企業庁によると2016年時点の企業数は約359万社だそうです。さらにその内の99%、358万社が中小規模企業というから驚きです。

参照:中小企業庁「企業規模別企業数の推移」

しかし、その企業数は年々減少傾向にあります。新規法人登記数は毎年約10万件程度あるため、10年経過すれば100万社ほど企業数が増えているはずなのに、実際は減っていく一方なのです。これが何を意味するかおわかりでしょうか?

そうです。毎年会社が倒産・解散・合併などで減ってしまっているということなのです。

参照:中小企業庁「企業規模別企業数の増減率の推移」

こちらのグラフの通り、特に小規模企業の減少率が非常に高い状況です。これは、毎年10万人程度の社長が「これから価値のあるサービスや商品を世の中に出して、がんがん成長してみせるぞ!」という意気込みと共に法人登記をするにもかかわらず、夢半ばで市場から撤退してしまっている企業が非常に多いということを意味しています。

企業は、どんなに崇高な理念やポリシーがあっても、倒産してしまったら元も子もありません。
企業経営をするうえで必要なのは、何はさておき「存続・発展し続けること」といえるでしょう。

存続・発展し続けるためには経営戦略が必要

では、どうしたら企業が倒産せずに存続・発展し続けられるのでしょうか?その答えは「経営戦略」にあるといえます。

戦略とは、読んで字のごとく戦いに勝つための策略のことです。戦争においては、負けてしまってはどうしようもありません。企業経営においても、並み居る競合に打ち勝ち、生き残り、そして経営の目的を果たさなければなりません。

経営戦略とは、「目的を達成するための手段が明確化されたもの」です。
つまり、経営戦略とはまず自社経営の目的を明確に設定し、次にその目的を達成するために、自社が持ち得ている経営資源をどう分配していくのかをしっかりとプランニングすることといえるでしょう。

経営資源には「人」「モノ」「金」「情報」「時間」という5種類があります。競合他社との競争に打ち勝ち、市場の中で生き残るために、この5つの経営資源をいつどこに投下するかを決定すること、これが経営戦略なのです。

経営に関する本を読んでいると「事業戦略」「人事戦略」などのように「〇〇戦略」という言葉がよくでてきます。
これらは例えば、競合他社との競争に打ち勝つためにはどのような事業を展開していくべきなのか、あるいはその事業を展開していくためにはどのような組織体制を組み、どのような人物を要職に登用したら良いのか、などを考えることです。

経営戦略とは、それらすべての戦略を含めて会社全体で経営資源をどこにいつ投下するのかを決めるということですが、
特に創業間もない企業や小規模企業には、あらゆる場面に万遍なく投下するだけの十分な経営資源がありません。

経営資源が乏しい経営環境においては、

  • (1)すべての経営資源を万遍なく投下せず、1点突破を狙い、集中して投下する
  •    
  • (2)競合ができるだけ少ない市場で戦う

という2点を経営戦略の軸とすることが、存続・発展し続けるために重要といえます。

iPhoneで有名なAppleはどこに経営資源を投下してきたのか?

iPhoneやiPad、Macなど競合他社製品よりも「少し高いけどカッコいい。洗練されている」と評判を呼ぶIT製品を生み出し、世界中のユーザーに支持されているApple社は、GAFAMの一角として急成長し続けています。

では、ここで質問です。Apple社は何をしている会社でしょうか?

多くの方はこの問いに対して「iPhoneなどを売っている会社」と答えられるのではないかと思います。
でも、実はこの答えは半分不正解です。Apple社はiPhoneなどを売っている会社と思われがちですが、最も力を入れているのは「世の中で売れるIT製品を企画・開発する」ことなのです。

とにかく売れそうな製品を企画・開発し、洗練されたデザインを施し、外部企業の工場で生産をさせ、各国の代理店に売らせることで、iPhoneなどを世の中に送り出しているのです。

もちろん一部直営店でIT製品を「売って」はいますが、その販売数量は出荷量全体のごく一部であり、直営店はどちらかというと製品を売るためではなく、最先端というイメージをユーザーに植え付けるブランディングのために存在しているといえるでしょう。

Apple社が急成長したのは、「企画・開発する」という機能に経営資源の大半を注ぎ込み、「生産する」「販売する」という機能は思い切って他社に委託・提携することで、ほとんど経営資源を使わずに済むような経営戦略を採ったことによるといえるでしょう。

Apple社創業者のスティーブ・ジョブズ氏が自宅ガレージで創業した際には、もちろん潤沢な経営資源など全くありませんでした。
彼はその当時まだ一般家庭に普及していなかったパーソナルコンピューターを世の中に送り出すという目的を達成するために、その手段としてウォズ氏*1やロナルド氏*2を仲間にし、「Apple-II」を企画・開発したのです。
「Apple-I」を売って得た「金」のほぼすべてを優秀な「人(エンジニア)」を採用するために費やしたジョブズは、『1点突破を狙い集中して経営資源を投下できる』経営戦略の天才といえるでしょう。

*1スティーブ・ウォズニアック *2 ロナルド・ウェイン

競合が多いレッドオーシャンには飛び込まないほうが良い

レッドオーシャン、ブルーオーシャンという言葉を聞かれたことはありますでしょうか?
レッドオーシャンとは、競合がひしめき戦い続けて、流れた血で赤く染まった海のイメージで、「競合が多い市場」のことを指します。

一方ブルーオーシャンとは、競合がいない(少ない)ため戦う必要がなく、透き通るような青い色をしていて遠くまで見通しがきく海のイメージで、「競合がいない市場」を指します。

ビジネスは、できればこのブルーオーシャンで行いたいものです。ブルーオーシャンでビジネスをするための考え方は、マイケル・ポーター教授の「競争戦略論」が世界的に有名です。この競争戦略は、「競合他社との違い」を産み出すことで、生き残るという考え方です。

「同一の性能であれば他社より安い」あるいは「他社より優れている」など、競合他社との違いを徹底的に考え、その違う部分を強調するために経営資源を集中投下することで、競合に打ち勝っていくという理論です。

ただし、「他社より安い」を強調することは、競合が自社よりも価格を下げてきた際の対抗策が「さらに安くする」しかなくなってしまうため、おすすめしません。 価格を下げるより「他社よりも優れている」という点を強調するほうが、競合が同様の訴求をしてくる確率が低くなるため、競争に勝ちやすくなるのです。

それでも競合より優れている点や違う点を創り出せない場合、つまりどうしてもレッドオーシャンでしか勝負できない際は、市場を替える、つまり勝てる戦場を探すことを検討しましょう。

市場を替える場合には、「自社商品・サービスの強み」のみを考えるのではなく、「そのサービスを利用してくださる顧客企業やユーザーのニーズ」をしっかりと捉えなおすことから始めます。
前者はプロダクトアウト、後者はマーケットインの考え方といいますが、マーケットインの考えをしなければ、どの市場でも勝ち続けることはできないでしょう。

マーケットインの考え方をするためには、

「Customer(市場/顧客)・Company(自社)・Competitor(競合)の3C」によってビジネス環境を分析し、
さらに「Product(製品/サービス)・Price(価格)・Place(立地/流通/販路)・Promotion(販促/広告)の4P」
という軸で販売に影響を与える要因を競合と比較したうえで販売戦略を立案する必要があります。

つまり、自社ではなく顧客を主体者としてとらえ、その顧客をとりまく環境や競合のアプローチ方法などを分析することで、勝てる戦場を探していくのです。

経営戦略を立案する際は、世の中の動き、顧客の志向性、環境の変化など、あらゆる動きをタイムリーに掴み、検討材料としていくことが必要です。そのためには机上でうなっているのではなく、アンテナ高く社内外の様々な情報を収集できるようにすることも重要といえます。

先ほどご紹介したApple社の「Apple-II」も、基盤・モニター・外部記憶装置・キーボードなどが一体化した「オールインワンタイプのコンピュータ製品」という、市場ニーズはありながらも競合が全く手掛けていないブルーオーシャンを自ら作り出したことが成功要因の1つといえるでしょう。

企業が存続・発展し続けるためには、なんとなく経営をし続けるのではなく、しっかりと経営戦略を考え、保有している経営資源を最適な箇所に分配していくことが必要です。

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