クレーム対応~お客さまが納得する正しい対応とは?~

お客さまが納得する正しいクレーム対応とは、どのような対応でしょうか? クレームとは要求です。相手の要求に対して、正しい手順と心構えでクレーム対応することで丸く収まる3つのポイントを徹底解説いたします。また本コラムでは、組織のクレームを少なくするコツも多数ご紹介します。

クレーム対応~お客さまが納得する正しい対応とは?~|人材育成コラム_3

日本人にはサイレントクレーマーが多い

日本人は「クレーム」というジャンルでかなり恐れられています。その理由は、日本人はクレームを「言わないから」です。あれ、クレームを言わないのなら良いんじゃないの?と思いますよね。実は日本人は「いやだと感じたり、頭に来ても、その場ではクレームを言わない」ので恐れられているのです。

例えば、飲食店での食事中に何か不満なことがあると、欧米人は即座にスタッフを呼んで自分の要求を伝えます。でも、日本人の多くは不満を感じてもその場では言わず、店を出た後に、SNSを使ってとにかくその不満を拡散しようとするのです。

「美味しかったです」と言い笑顔で店を出たと思ったら、次の瞬間にはスマホを取り出してSNSに「料理がおいしいと評判なのかもしれないけど、あの店の接客はひどいな~。みんな行かないほうがいいよ!」と投稿してしまうのが日本人です。怖いですよね。

そのやり方から日本人はサイレントクレーマーと言われますが、前向きな飲食店では後でSNSに悪評を投稿されないように「当店について文句や不満を言ってくださったら次回使える金券をプレゼントします」というキャンペーンを行い、お客さまの不満をあえて吐き出してもらうように工夫をしているところもあります。

BtoBでも同様に、「お取引先さまから自社に対する不満を言っていただく」ことを目的として上司が部下の担当企業に対して表敬訪問を行い、顧客が感じている潜在的な不満(サイレントクレーム)を積極的に吐き出してもらうとアクションを起こしている企業もあります。

Claim=要求であることを理解し、まずは事実確認をしよう

「クレーム=Claim=要求」です。クレームを受けた際には、相手がどんなにお怒りであっても、まずは冷静に相手が何を望んでいらっしゃるのか、そして事実はどうなのかを把握するように努めましょう。

確認すべきは、次の三点です。

  • 1.お客さまは何に対してクレームをおっしゃってる(怒っている)のか
  •    
  • 2.そのクレームの原因となった従業員の言動は具体的にどのようなものか
  •    
  • 3.お客さまはどのような「着地点」を望まれているのか

例えば顧客管理のクラウドサービスを提供しているIT企業で起きたクレームを見てみましょう。
この企業では「ご入金後はいかなる場合でも返金はしない」ということをサービス利用規約に謳い、ご契約時にお客さまに伝えています。

ある日カスタマーセンターの電話が鳴り、「御社のサービス、話と違ってうちの会社じゃ使えないじゃないですか。営業の方にも言ったけど先日振り込みをした初期費用と一年分のクラウド利用料を全額返金してください。今週中に!」と連絡がありました。
でも応対したオペレーターはマニュアル通りに「規約に定めております通り、弊社ではご入金後の返金については一切対応いたしかねます。申し訳ございません」とお断りしてしまいました。

実はこのお客さま企業に対しては、営業担当者が商談時「クラウドサービスなので、御社環境でも今日からすぐにご利用いただけます」と間違った環境での使用提案をしてしまっており、結論としてお客さまには自社サービスをご利用いただけない、ということが後から判明しました。

お客さまから使えないから返金してほしいとのご指摘をいただいた営業担当者は「でも違う方法で使えるかもしれないので、すぐに調べて報告します」と返答したものの対応を忘れており、しびれを切らしたお客さまがカスタマーセンターにお怒りの電話をかけてきていたのです。

「虚偽の説明で契約をさせておきながら返金もできないとはどういうことですか。裁判所に訴えますよ!」とお客さまが激怒されたのは言うまでもありません。

ただでさえ間違った使用環境を提案して契約を獲得してしまったのに、そのお客さまからのクレーム電話への応対がまずかったため、火に油を注いでしまった事例です。

もし、クレーム電話を受けたオペレーターが「ご不便をおかけし、申し訳ありません。サービスが使えないので返金をご希望とのことですが、詳細をお聞かせいただけますか。」と真摯に対応とお詫びをしていれば、お客さまの気持ちは変わっていたでしょう。

先ほどの確認すべき三点に当てはめてみると、以下のようになります。

  • 1.お客さまは何に対してクレームをおっしゃってる(怒っている)のか
    →契約企業の使用環境では使えないクラウドサービスをご提案してしまった
  •    
  • 2.そのクレームの原因となった従業員の言動は具体的にどのようなものか
    →「クラウドサービスなので、御社環境でも今日からすぐにご利用いただけます」
  •    
  • 3.お客さまはどのような「着地点」を望まれているのか
    →振込済みの初期費用と年間利用料を全額すぐに返金する

もちろん規約に返金はしないと謳っているとはいえ、今回は営業担当者のミスなので返金をすべき案件です。営業担当者も自分がお客さまに間違ったご提案をしてしまったことを上司に知られることが怖くて対応を後延ばしにしていたところ、さらに問題を大きくしてしまいました。

クレーム対応には特別なスキルは必要ありません。
まずは、「お客さまの気持ちと事実、要求されている着地点を理解しようとする。しっかりとお詫びをする」ことから始めてみてください。

組織としては今回の営業担当者のように「お客さまからいただいたクレームを担当者が握りつぶしてしまう」ことが最も危険だと言えます。上司は部下に対して会議のたびに「お客さまからいただいているクレームはないか?」などを確認するようにしましょう。

だでで言葉を使って相手の感情を高ぶらせてはダメ

だでで言葉とは、「だけど」「でも」「ですから」という相手のおっしゃる言葉を逆説的に否定する枕詞のことです。
この事例では、まずは営業担当者がカスタマーセンターなど関係部署にしっかりと返金事案であることの情報共有をすべきでしたが、それ以外に絶対にしてはいけないミスを犯しています。それは何だと思いますか?

実は、一つの重大な事故が発生するまでには、それ以前に300ものヒヤリハットが存在していると言われています。
つまり、ヒヤリハットが発生した段階で「危なかったー!」で終わらせず、同じことをほかの人がやってしまわないように改善や共有、対策をしておけば、今後組織として大きな事故を起こさずに済む可能性が高くなるということです。

それは、「だでで言葉」を使っているという点です。
今回のお客さまに対してもすぐにお詫びをせずに「でも、違う方法で使えるかもしれないので」と返答してしまっています。これでは相手の感情を逆なですることになります。クレームをおっしゃっている相手にだでで言葉で返答することは火に油を注ぐことになるので、使わないようにしましょう。

クレームを受けた際には、相手のことを否定せず、「この方は最終的にどのような対応(着地点)を求めているのだろうか?お怒りの理由や真実はどこにあるのだろうか?」と相手のClaim(=要求)を探るようにしてください。

クレーム対応|心構えと正しい対応手順

では次にクレーム対応時の心構えと正しい対応手順について考えましょう。 ポイントは三つです。

  • 1.お詫びをする
  •    
  • 2.問題点を確認する
  •    
  • 3.代替案を提案する

最初に行うべきことは「お詫びをする」です。
まずはお客さまがお怒りになっているという事実に対して、お詫びをしましょう。

「申し訳ありません」という言葉だけでなく「ご不快な思いをさせてしまい、申し訳ありません。詳しくお話しをお聞かせいただけますか?」と丁寧にお詫びの言葉を述べ、相手の言い分を理解しようと努めていることをお客さまに感じてもらうことが重要です。

次に、「問題点を確認する」です。
何についてお客さまはお怒りなのかを正確に確認する必要があります。お客さまの話にしっかりと耳を傾けましょう。

クレーム対応時には三つのポイントがあります。

一つ目は「あいづちを打つ」です。
お怒りのお客さまは自分の話を聞いているスタッフの反応や対応に敏感になります。 「はい」「おっしゃる通りです」「ご迷惑をおかけして申し訳ありません」とあいづちを打ち、反応することで真剣に聞いていることがお客さまに伝わります。

二つ目は「言い訳をしない」です。
「当日はスタッフが1人体調不良で休み人手が足りなかったので...」などと言われても、お客さまにとっては関係ありません。こちらの事情を説明したり言い訳をしたりしないようにしましょう。

三つ目は「代替案を提案する」です。
お客さまはこちらに何かしらの対応をしてほしいのでクレームをおっしゃいます。その期待に応えることが重要です。

例えば先ほどご紹介したIT企業の例では、「大変申し訳ありません。ご提案したクラウドサービスは弊社のご説明ミスでお使いいただけませんが、通常は2倍ほどの費用をいただいている別のクラウドサービスならば間違いなく御社にご利用いただけます。全額ご返金ではなく、今回ご入金いただいた費用で、上位サービスを1年間ご利用いただく、ということでお許しいただけないでしょうか?」というように代替提案をするのです。

クレーム対応の際には先ほどの「だでで言葉」ではなく「しすたあ言葉」を使いましょう。
しすたあ言葉とは、「失礼しました」「すみません」「大変申し訳ございません」「ありがとうございます」のように、お詫び言葉を指します。そしてお客さまがこちらのご提案をお聞きいただけた場合には、ありがとうございます!と深くお礼を述べるのです。

  • 1.お詫びをする
  •    
  • 2.問題点を確認する
  •    
  • 3.代替案を提案する

上記のような心構えと正しい手順でクレーム対応をすれば、たいていのお客さまに納得してもらえ、クレームは丸く収まります。

クレーム対応|クレームを組織の財産にする

ただ、世の中にはクレームが少ない企業と多い企業があります。何が違うのでしょうか?

結論を先に言うと、以下のような違いがあります。

  • ・クレームが少ない企業は「クレームを改善の機会と考え、組織で対策をしている」
  •    
  • ・クレームが多い企業は「その場でお客さまの怒りを鎮めることだけを考えている」
発生したクレームに対して、個人レベルで対応してその場を収めるのではなく、二度目を起こさないように組織として対策することが重要です。

ある全国展開している不動産企業では、日々のクレーム対応を報告する社内システムをつくり、年間を通して良いクレーム対応や改善案を提出した人を表彰するという制度があります。

「こういうクレームを受けました」という報告はしづらいので、「こういうクレームがありましたが、最後にはお客さまから逆に激励のお言葉をいただきました」というような、クレームをうまくプラスに転換できた例を共有して、聞いた人が自分でも真似をしたくなるように工夫しています。

お客さまの気持ちを理解しようとする心構えで、お詫びをする→問題点を確認する→代替案の提案をするという手順で落ち着いて対応すれば、クレームを解決できる確率がグンと上がります。


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