ロジカルシンキング(論理的思考)とは?必要性と基本的な考え方、トレーニング方法を解説|コラム|人材育成・社員研修

ビジネスシーンにおいて必須のベーシックスキルといわれている「ロジカルシンキング」。ロジカルシンキングは、正しいやり方でトレーニングを行えば確実に身につけることができるスキルです。本コラムでは、ロジカルシンキングを身につけるために必要となる基本的な考え方や、おすすめのトレーニング方法をご紹介します。ぜひ参考にしてください。

ロジカルシンキング(論理的思考)とは?必要性と基本的な考え方、トレーニング方法を解説|人材育成コラム_3

ロジカルシンキングとは

「ロジカルシンキング」は日本語で「論理的思考」と訳されます。意訳すると「伝えたい主張(結論)に向けて、根拠を筋道立てて考えること」を指します。ここで大事なのは「筋道立てて」の部分です。以下の例文をご覧ください。

「今日は暑い。なぜなら水分を取りすぎたからだ」

いかがでしょうか。「暑い」理由が「水分を取りすぎたから」ということに納得感を感じにくいのではないでしょうか。これは極端な例ですが、筋道立った思考ができないとビジネスシーンでも同じようなことが起こります。つまり、根拠が不明確、あるいは理由がわからず納得感のない主張が飛び交うことになるのです。打ち合わせや会議の場での議論、日々のコミュニケーション、営業現場での提案など、私たちは様々な場面で主張することが求められます。その主張を相手に納得感を持って受け止めてもらうために、ロジカルシンキングは極めて重要なスキルだと言えます。

他の思考法との違いは?

ロジカルシンキングに限らず、思考力を高めることは現代のビジネスパーソンにとってこれまで以上に重要となってきています。というのも、ビジネス環境の変化は加速する一方。これまでと同じやり方が通用しないことも多く、新たなやり方をその都度考える必要に迫られることが増えているからです。ここでは、ロジカルシンキングと並んでとりあげられることが多い思考法2種類と、ロジカルシンキングとの違いをご紹介します。それぞれの思考法の位置づけをぜひ押さえておきましょう。

・クリエイティブ・シンキング
 枠組みにとらわれずに自由な発想で様々な可能性を探る思考法です。ロジカルシンキングとは逆方向の「発散」がキーワード。

・クリティカル・シンキング
 「本当にそうなの?」と、論理や物事を批判的に見ることにより、正しい論理につなげる思考法です。ひと言で言うと「客観視」となります。

・ロジカルシンキング
 物事を整理あるいは構造化し、考えを「収束」させていく思考です。

ロジカルシンキングの必要性

ここでは、ロジカルシンキングが不十分な時に起こる代表的な2つの不具合をご紹介します。

(1)問題を解決できない

仕事の多くは「問題を解決する」ことです。お客様のお困りごとを解決することはまさに問題解決ですし、社内業務でミスが頻発した際にその要因を特定し、対策を考えていくことも問題解決です。 問題を解決するためには、「これは本当に問題なのか」「問題が発生した要因は何だろうか」「本当に打つべき解決策は何か」を筋道立てて考えることが必要です。筋道立てて考えることができないと、表面的な問題解決となり、根本解決されないケースなどが起こります。

例えば、社内で同じミスを繰り返すAさんがいたとします。そこで「ミスをしないように!」と上司が厳しい言い方で指導しました。さあ、これでミスが永続的になくなるでしょうか?もう二度とミスをしないぞと心に誓ったAさんのミスは、一時的には減るかもしれません。しかし日にちが経てば、徐々に気が緩んできてミスが再発するであろうことは想像に難くないでしょう。この例では、Aさんが同じミスを繰り返すのは、上司から厳しく言われていないからである、という短絡的なロジックになっています。本来であれば、Aさんがどんな仕事で、どのような状況で、同じようなミスを繰り返すのか。その要因を突き止め、具体的な解決策を打たなければなりません。

このように、根拠を筋道立てて考えることができないと、問題解決ができません。その結果、思うように仕事の成果を上げられない、ということになってしまいます。

(2)コミュニケーションがうまくとれない

多くの仕事は一人では完結せず、周りの人との協力が不可欠です。社内で施策を提案するときや、要望を伝えて誰かに動いてもらいたいときには、相手が納得できるように根拠を筋道立てて整理し、主張することが求められます。このときロジカルシンキングができていないと、根拠がない主張・要望や提案となり、聞き手は「これは承認・受け入れるべき話なのだろうか...」と悩んでしまいます。その結果、話が進まない、周囲の協力が得られないといったことになってしまうのです。

自分が聞き手の場合にも、同じことが起こります。ロジカルシンキングができていないと、周囲が良い働きかけや提案をしてくれたも関わらず、相手の話の「主張」と、その「根拠」を理解できません。そうなると、「なんかいやだな」と感覚的な判断となってしまい、正しい主張を拒絶してしまうことになりかねません。

ひと昔前であれば、コミュニケーションが多少雑だったとしてでも相手が文脈や行間をくみ取ってくれて、意思疎通が図れる場面が多かったかもしれません。しかし今は多様性の時代と言われている通り、これまで以上に様々な業界・年代・職種・人種や働き方の方々と仕事をする機会が増えました。多様な人々が集まっている組織の中で、周囲と適切にコミュニケーションをとって問題を解決していくために、ロジカルシンキングは一層強く求められるようになってきています。

ロジカルシンキングの土台となる考え方

ロジカルシンキングを実践するには、どのような考え方をすればよいのでしょうか。ここでは土台となる考え方である「演繹法」と「帰納法」をご紹介します。

演繹法

誰もが正しいと考える事実=大前提を起点に、結論を導き出す考え方です。

【演繹法の例】
大前提:優秀なビジネスパーソンはロジカルシンキングが得意である
前提:Aさんは優秀なビジネスパーソンだ

結論:ゆえに、Aさんはロジカルシンキングが得意だ

演繹法で注意が必要な点は、大前提に対して納得感が得られないと、導き出された結論も納得されないという点です。そのために、大前提は誰もが納得できるような事実であることが求められます。

帰納法

複数の事象から共通事項を見つけ、その共通要素を結論として一般化する方法が帰納法です。

【帰納法の例】
事象:今日は上司が険しい顔をしている
事象:パソコンのキータッチも激しい
事象:腕組みしてディスプレイを凝視している

結論:今日は上司の機嫌が悪そうなので、相談するのは明日にしよう

帰納法の注意点は、ここで導き出される結論は「仮の説」であるということです。そのため、この結論が本当に正しいかを確認することや、少しでも多くの事象を集めて結論を導き出すことが求められます。

ロジカルシンキングの基本手法とロジックツリー

「列挙」と「掘り下げ」

演繹法・帰納法の考え方から、主張の納得感を高めるには「当たり前と感じてもらえる前提」や、「多くの事象を集めること」が重要であることを見てきました。そして、その前提や事象を実際に考えていく際に用いられる手法が「列挙」と「掘り下げ」です。

「列挙」は、要素の抜け漏れやダブリがないように、全体を網羅することを指します。

【列挙の例】
当社では若手が育っていない。なぜだろうか?
なぜならば...
・人材育成の仕組みが機能していないから
・上司・先輩が部下・後輩の育成に時間を割けていないから
・若手自身の成長意欲が強くないから
...

このように、考えられる要素をできる限りたくさん挙げていきます。この時のポイントは、漏れやダブリがないようにすること。いわゆるMECEを意識しましょう。

「掘り下げ」とは、一つの要素から因果のつながりがあるより深い要素を挙げていくことを指します。

【掘り下げの例】
当社では若手が育っていない。それはなぜか?
→なぜならば、若手自身の成長意欲が強くないからだ。それはなぜか?
→なぜならば、成長しないといけないと思うような難しい仕事の場が与えられていないからだ。それはなぜか?
→...

上記のように、考えられる要因を繰り返し掘り下げることにより「真の要因」を明確にしていきます。問題の掘り下げが甘いと、考えつく解決策も表面的なものになってしまいがちです。自動車メーカーのトヨタは「なぜ」を5回繰り返す「なぜなぜ分析」という手法を活用して問題解決をしてきたことで知られています。真の要因を探るにはそのくらい繰り返し「掘り下げ」をすることが必要だと理解しましょう。

「列挙」と「掘り下げ」についてご紹介しましたが、これらはどちらかだけができれば良いというものではありません。ロジカルシンキングには双方をバランスよく行うことが求められます。そのためのツールとしてよく使われるのが、ロジックツリーです。

ロジックツリー

ロジックツリーとは、問題の要因や解決策の論理的なつながりをツリー状に表す思考ツールです。ロジックツリーを活用することで、列挙と掘り下げをバランスよく行いながら思考することができます。

ロジックツリーの例:若手社員が定着しない要因

ロジックツリーの例:若手社員が定着しない要因_ロジカルシンキング(論理的思考)とは?必要性と基本的な考え方、トレーニング方法を解説|人材育成コラム

ロジックツリーを作成するコツは、実際に紙やホワイトボードに書き出しながら考えることです。頭の中だけで考えてうまく進める事ができるのは相当な上級者だけだと思ってください。慣れないうちはとにかく手を動かして、思考の途中過程も書きながらロジックツリーを作成していきましょう。

ロジックツリーには、大きく分けて2種類あります。問題の要因を掘り下げていく「Whyツリー」(それはなぜ?のツリー)と、要因に対する解決策を洗い出してまとめていく「Howツリー」(じゃあどうやって?のツリー)です。用途に応じて使い分けるとよいでしょう。

ロジカルシンキングのトレーニング方法

ロジカルシンキングのスキルを高めるにはどうすれば良いのでしょうか。最初にお伝えした通り、ロジカルシンキングに限らず思考力は正しく鍛えれば確実に向上させていくことができます。筋トレと同じで、繰り返しトレーニングをすることが大切です。普段から考える習慣がない方は、初めは考えること自体に苦痛を感じるかもしれませんが、ぐっと我慢して考える訓練に取り組んでみましょう。慣れるまでの辛抱です。

以下では、ロジカルシンキングのスキルを高めるためにおすすめの手順をご紹介します。

(1)基本知識のインプット

先ほど、思考は筋トレと同じと書きました。筋トレは正しいフォームでやらなければ、どれだけ激しいトレーニングをしても高い効果が得られません。ロジカルシンキングもそれと同様に、本コラムでお伝えしてきた考え方や基本手順などを知っておくことが大切です。本コラムではその一部をご紹介しました。さらに詳しい内容として、書籍や研修、eラーニングなどを利用してまずは正しい基本知識を押さえましょう。最近はオンラインで受講できる研修も増えてきているので、合わせてチェックしてみることをおすすめします。

なお、「トレーニング」からは少し外れますが、ロジカルシンキングの大前提として、これから考える問題に関する基礎知識(業務知識・専門知識など)を押さえておくことは必須です。ここが不十分なためにロジカルシンキングがうまくできないケースが非常に多いので注意してください。解決したい問題に関する知識・理解があやふやかもしれないと感じる場合は、別途知識をインプットしておくようにしましょう。

(2)ロジックツリーを作ってみる(ケーススタディ)

ロジカルシンキングの基本知識がインプットできたら、次はロジックツリーを自分で作成してみましょう。ご自身の職場で考えられる問題をひとつ挙げてみて、その要因の掘り下げ(Whyツリー)と、解決策の洗い出し(Howツリー)を行うのがオーソドックスなトレーニングのやり方です。作成できたら周囲の人と意見交換したり、ロジカルシンキングが得意な人に見せてフィードバックをもらうようにすると学習効果が高まります。いろいろな問題を設定してロジックツリーの作成を繰り返し、身体に馴染ませていきましょう。

(3)普段からロジカルシンキングを意識する

研修などの場で学ぶだけでは、ロジカルシンキングのスキルを身につけることはできません。学んだことを普段の仕事や生活の中で意識的に使い、継続的にトレーニングをしましょう。会議で議論されている問題を「列挙」と「掘り下げ」の観点で検証してみる、テレビのコメンテーターの主張を聞いてその根拠を考えてみる、など、機会はあらゆる場面で見つけることができます。思考する機会を日常的に持つことで、ロジカルシンキングのスキルは着実に高まっていきます。

「問題解決」と「コミュニケーション」を大きく左右するロジカルシンキング。この力を高めるためには、「知識習得」と「学んだことの継続的な実践」が必要不可欠です。ぜひ両方を意識してロジカルシンキングのスキル向上に取り組んでみてください。


ラーニングエージェンシーでは、ロジカルシンキングの「知識習得」から「職場での継続的な実践・定着」まで全面的にサポートする育成サービスを提供しています。会場研修、オンライン研修、eラーニングなど企業様の状況・用途に合わせて複数の学習形態があるのも特長です。職場でロジカルシンキングが不足していると感じている企業様、ロジカルシンキングの知識をインプットしたにも関わらず社員の仕事の仕方がなかなか変わらないという企業様は、ぜひ一度弊社にご相談ください。

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