ヤブサキ産業株式会社 Biz CAMPUS Online 導入事例
全社員で理念浸透・ビジョン実現に向かう機会を創出
人の成長を組織の成長へと進化させ、働く人を幸せにするヤブサキビジョン|事例

ヤブサキ産業株式会社 薮嵜 康一氏代表取締役
  
創業
:1968年
事業内容
:ガソリンスタンド経営、整備工場経営、各種保険代理店事業、レンタカー・レンタリース事業、自動車販売買取事業、自動車鈑金事業など
従業員数
:正社員約60人、パート・アルバイト約140人
本社
:千葉県市川市菅野4-14-10
企業サイト
https://www.yabusaki-kk.com/
時代の過渡期にあると言われるガソリンスタンド経営を主体にしつつ、事業の多角化を進め、業績を伸長させるヤブサキ産業。その礎となる「組織全員が同じ方向を見る」ための人材マネジメントについて、薮嵜 康一社長に伺いました。
*新型コロナウイルス感染防止のため、十分に距離を取りインタビューを実施いたしました

  • インタビューのサマリ

    インタビューのサマリ

    • 人材育成を始めたきっかけ
      • ・ 新卒採用の強化で、若手の育成が必要になった
      • ・ 事業展開が多角化し、社員に必要なスキルが変わってきた
      • ・ ライバル企業に勝つため、人材力による差別化が必要になった
    • 研修導入の目的
      • ・ 「組織全員が同じ方向を見る」ための理念、ビジョンの浸透
      • ・ 職種や業務内容問わず必要なコミュニケーションスキルの強化
    • 研修後の効果
      • ・ 社員が同じ研修を受けることで、共通言語が生まれ組織が一体化した
      • ・ 社員がビジョンを意識するようになり、トップダウンではないビジョン浸透の機会が創出できた
  • ガソリンスタンドの新卒採用と事業多角化への挑戦。 組織の成長を叶えるための育成計画。

    - 本日はよろしくお願いします。御社は、ガソリンスタンド経営を軸とした事業を展開し、
    「人材価値こそ事業優位」という経営方針を掲げていますね。それはもう昔から?

      私が経営を引き継いだのが2012年。本格的に人材育成に取り組み出したのはその頃からですね。その理由は大きく3つあります。

    まずは、この直近5年で新卒社員の積極採用を始めたことです。採用を成功させるためにも若手の成長のためにも、そして組織の成長のためにも、採用と育成をセットで考える必要がありました。

    また2つ目は事業展開の広がりです。自動車販売、保険代理業など、扱う商材が高度になってきたことで、これまでのスキルではカバーできないことも増えてきました。多角化・高度化する事業をスムーズに進めるには、社員一人ひとりのスキルも高度化させなければなりません。

    そして3つ目。これは根本的なことですが、私たちの取り組む事業はそもそも商材だけでは差別化できません。つまり、人材こそが組織の価値そのものでもあるんです。そのため、社員の教育には手を抜けないのです。

    ヤブサキ産業株式会社代表取締役の薮嵜様
    - ここ5年で新卒採用を本格化されたとおっしゃいましたが、そのきっかけは何だったのですか?

      ある時ふと気づいたんです。社員の顔ぶれを見渡してみると、あれあれ?ウチの若手社員って言ってるアイツ、そろそろ40代だよな? それって若手なのか????と。『ヤブサキ産業は百年企業を目指します!』なんて標榜しているのに、次世代の担い手がいないんじゃ時代に取り残されちゃいますよね。そんなわけで、若手人材の強化は必然でした。

    そして新卒社員というのは、言うまでもなく社会人になりたてのまっさらな存在です。何も染まっていない人材を採用し、私たちの理念や考え方を初期段階からしっかりインストールし、育てていきたいと思ったのです。とはいえ、3K職種なうえに、夏は暑くて冬は寒いガソリンスタンドを運営する会社の新卒ですからね。理念やビジョンを浸透、共感させていくことは簡単ではありません。そのため採用段階から様々な工夫を凝らしています。

    - 新卒社員に限らず、全社へ理念やビジョンを浸透させるのは簡単なことではありません。
    御社ではどのような取り組みをしているのでしょう?

      私が経営者になってすぐ、理念研修やビジョン研修を取り入れました。しかし、理念やビジョンって、一度説明したからと言ってすぐに理解されるものではなく、繰り返し繰り返し説くことで浸透していくものですよね。当初は、「理念なんかより売れることのほうが大事でしょ?」「結果を出せばいいんでしょ」みたいな空気を一部に感じましたが、何度も何度も機会を設けて訴えかけたことで、徐々にですが浸透してきたと感じています。当初は反発していた社員も、今では理念の考え方を理解し、後輩に対してどう模範を示し、またどんな指導をすべきかを考えられるリーダーへと成長してくれました。

    - 実際に成長を実感できるような場面があったのですね。

      (理念研修で反発していた)ある社員が部下と面談している場を目にしたのですが、その時、彼はヤブサキビジョン手帳*1に目を落としていました。ヤブサキビジョン手帳とは、組織の理念やビジョンが記載された社員必携の手帳。それをパラパラとめくりながら、ヤブサキのビジョンに照らし合わせながら、そしてそこから言葉を抽出しながらアドバイスをしていたんです。その姿を見て、いやあ、成長したなあ...と。彼は口下手なリーダーではあるのですが、手帳の内容がちゃんと指針になっていて、そこから指導のキーワードを引き出している。それを見て感動したことを今でもよく覚えています。

    ヤブサキ産業株式会社のヤブサキビジョンマップ
    ヤブサキビジョンマップ
    中期経営計画が示されたイラストマップを全拠点に掲出している

    多角経営成功のカギはビジネス基礎力の強化。

    - 事業の多角化を進める中、人材育成の方法も進化させてきたのでしょうか?

      事業が多角化すれば、当然、必要な業務知識も変わっていきますよね。また、新卒採用を強化していることもあり、若手社員が増え、以前に比べて年齢層も幅広くなってきました。社歴も年齢も、そして個々人のスキルや能力も違う。本当に千差万別。そのため、社員一人ひとりに合わせた教育が必要なのかなと考えていました。

    ただ一方で、まずはヤブサキ社員としての統一的なスキルを身につけさせなければいけないなぁという思いもあり、幹部の社員たちといろいろ話し合っていました。そこで知人の経営コンサルタントから紹介していただいたのがラーニングエージェンシーさんだったんです。

    早速、御社の前田さんに相談したところ、「ビジネスの基本はコミュニケーション。"聞く""話す"は、職種や業務内容を問わず、誰にでも必要。そのうえで年次や職種、また個々人の能力や課題に合わせて必要なスキルをつけさせるべき」とアドバイスをいただきました。

    - ビジネスを進めるうえで、コミュニケーションは不可欠ですからね。前田のアドバイスを受け、まずは何から始めたのでしょう?

      まず、現場で"聞く""話す"というコミュニケーションスキルが使用される場面を整理しました。その上で、それぞれの場面では「誰に」「どの程度」の"聞く""話す"スキルが必要なのか検討しました。「誰に」という観点では、例えば新入社員、2年目、3年目以降といった年次や階層の切り口。また、メカニックスタッフや営業といった職種の切り口で整理をしました。年次や職種が異なれば目線も違いますから、"聞く""話す"というスキルが求められる場面や求められるスキルレベルも違う。それらを十把一絡げにして研修を実施しても育ちません。コミュニケーションスキルは誰にでも必要な基礎スキルであるが故に、各人が業務における活用場面を明確にイメージした上で、自分ごとにできるよう体系的な仕組みをつくっていきました。

    また、"聞く""話す"などのコミュニケーションスキルは、すぐに身につくものではないため、あえて"急いで詰め込みすぎない "ことも重視しながら、研修スケジュールを組みました。

    しかし、2020年はコロナ禍で客足が減ったため、これを絶好の教育チャンスと捉えて、リモート教育の強化期間にしました。その中で "聞く""話す"更には"伝える"といったコミュニケーションスキルについて、想定スケジュールよりも前倒しで進めたんです。コロナ禍の打撃は大きかったものの、社員教育の面で見ると、コミュニケーションスキルを全員に学んでもらう良い機会となりました。

    - 当社のサポートが役に立って嬉しいですね。

      ラーニングエージェンシーさんのサポートが入ってから、組織がますます一枚岩になってきた気がします。いやいや、お世辞抜きで。

    実際、前田さんのアドバイスって、理論と現実がしっかり結びついているんです。それも的確でわかりやすい。例えば、『相手に理解・納得してもらうための伝え方』という研修で出てきたメラビアンの法則*2。これは聞いているだけでも「なるほどそうだよね」と思えますが、それを具体的な事例に置き換えてくれるんです。「あの◎◎さんは、接客の際に5m離れた場所からでも"ありがとうございます"ってお辞儀していますよね。アレですよ」って解説してくれて。それで実際の仕事のシーンがイメージできる。「説明が上手なことよりも、印象を左右する所作が大事なスキル」だと、皆が実感値として納得できるわけです。そんな仕事のシーンを具体的に示して、実践を繰り返して、何度も何度も重ねていくうちに少しずつスキルが定着していくんだと思います。また、同じ研修を受けて共通言語が生まれることで、見る方向を合わせていけるんだなと実感しています。

    年2回の全社員成果発表会と 全社員へコメントバックする社長の意気。

    - 現在、当社の定額制研修サービス をご利用いただいていますが、研修の成果を感じるのはどんな時ですか?

      社員全員が研修を受けて、提出したレポート全部に目を通す時ですね。一人ひとりの成長が実感できるのですが、実は結構大変で...。研修レポートだけでなく、月次面談のレポートなんかもありますから、すごい数でげんなりします(笑)。しかし、皆にやれと言った以上は、私自身もちゃんとしなきゃいけませんから、山のようなレポートの隅々までしっかり目を通し、1つ1つにコメントしています。前田さんにも「よくやりますね」と驚かれますが、言い出しっぺとして、やり切らないと納得できない性分なんです。

    - かなりの負荷がかかりますが、そこから得られるものもあるのでは?

      社員一人ひとりにコメントやメッセージを書いていて気づいたのですが、若手メンバーに対してのコメントは、本来なら現場のマネージャークラスの社員にこそできてほしいし、それが理想ですよね。マネージャーが部下の成長を見て取れることも重要ですから、そのために何ができるか、知恵を絞っていかなければなりません。

    でも、ここまでやる同業他社もなかなかいないものなんですね。実は先日、弊社に視察にいらっしゃった同業の幹部の方がおっしゃったんです。「ここまでやらなくても結果出せばいいんでしょ」って。アレ?どこかで聞いたよな、このセリフ(笑)。他社には理解されにくい取り組みなのかもしれませんが、このやり方が正しかったことを10年後20年後に証明していきたいですね。

    ヤブサキ産業株式会社へ同業者見学のイメージ
    同業者が見学に
    同じ出光グループの経営者が同社の取り組みを視察
    - 一人ひとりへのフィードバックを続ける中、目に見えて変わってきたことはありますか?

      当社では年に2回、全社員70人が自らの成果を発表する"成果発表会"という機会を設けています。5日間に分けて、経営幹部が全員の発表を聞くのですが、その中に感動的な発表をしてくれる社員がいるんですよ。特に決勝に残る8人の発表を聞いていると、もう瞼の奥が熱くなるほど感激します。『20年目のダメ社員だった私が〜』とか『新人の私が〜』...なんてね。成長の裏でもがいて、壁を乗り越えてきたドラマが浮かんでくる。違う環境の人たちがそれぞれの立場で思いの丈を語る。現場でのエピソードって、トップダウンで語る教訓めいた話よりも心に響きますよね。共感力があります。

    - 成長のプロセス共有、ビジョン共有、様々な機会をつくっているのですね。

      皆さんに感心されることもありますが、長期でビジョンを描いてみると、まだまだ追いつかないことだらけです。EV(電気自動車)化、自動運転、カーシェアリング、クルマ社会の変貌とともに、私たちが提供する価値も変わります。この時代の変化に対応するために事業の多角化は必然です。変化に備えた事業ビジョンを描くと、やりたいこと、やるべきことがたくさん見えくる。それを社員一人ひとりに浸透させていかなければなりません。向かっていくべき方向を全員で共有し、全社一丸で取り組むためにも、ビジョンの共有は不可欠。そのための機会の創出、さらには研修をはじめとした教育機会の提供と成長実感の共有はなくてはならないものだと思っています。

    ヤブサキ産業株式会社の社内ミーティング
    - 全員がポジティブに取り組んでいくことが重要ですね。

      皆にわかりやすく、楽しく取り組んでもらうことも大切です。例えば、ビジョンマップというポスターを全拠点に掲出しているのですが、イラストを使って、会社が描く未来と皆の幸せな姿をイメージさせています。イラストマップにすると親しみやすいですから。そして、ビジョンマップを通じて、売上目標だけでなく、拠点展開、社員旅行のイメージまで共有したいのです。その夢に向かって一歩ずつ進んでいる実感を皆で分かち合っているのがヤブサキ流ですね。

    ヤブサキ産業株式会社の全社員成果発表会の様子
    全社員成果発表会
    毎年2回、正社員70人が自身の成果を発表する

    *1    ヤブサキビジョン手帳:組織の理念やビジョンが書かれた同社オリジナルの手帳。毎年、大切なキーワードがアップデートされて、現在バージョン5

    *2    メラビアンの法則:感情のコミュニケーションについての理論。話の内容といった言語情報よりも、視覚情報(表情やジェスチャーなど)や聴覚情報(声のトーンや発声の仕方など)が受け手の感情に大きく影響を与えるというもの

    関連サービス

    事例一覧